【第3.5話】10年間で4回半同棲に失敗した【自営業社長は無職だったので養った】
3.5回目の同棲、今度の相手はUMAだよ!
売れないバンドマンであるチャラ男は、シンクで謎の苔植物や微生物を飼育をしてはいなかったが、自身の頭の中でふわふわした謎植物を育てていたようだ。未確認生物はチャラ男自身であった。(端的に言葉を選ばず言うと、おばかさん)
その反省を元に、次は頭の良い人と住むことに決めた。
そしたらちょっと賢すぎる人だったのか何なのか、次の人は別の種類のUMAだった。しかも結構本格的に。ひも理論とか超ひも理論とか、その手の宇宙の話を好んでいたので、もしかしたら本当にどこかの星から来ていたのかもしれない。
UMA男は、スペックで言うと、ほぼ完璧に近い。
- 身長180㎝の筋肉質
- 中高一貫の名門、麻布高校卒業
- 国立大学卒業
- 大学時代はアメフト部に所属
- 外資系大手IT系会社の元社員
- 独立しフリーランスでコンサル業を営む
脳みそお花畑の婚活女が、しっぽを振ってよだれを垂らしながら即飛びつきそうな物件だ。私もそこそこ頭が湧いている人間なので、もちろんそうした。既にこれまでの経緯をに読まれた方なら、私の男を見る目の無さをご存知かと思うので「それは罠なんだろ?」とお気づきになるかと思う。はい罠でした。
以下、罠の部分
「独立しフリーランスでコンサル業を営む」
正しくは→
「独立しフリーランスでコンサル業を営む(※ただしフリーランスなので自分の裁量で一切仕事しなくてもおk)」
UMA男とは仕事関連で知り合った。出会った当初は「仕事ができる人」いう印象だったが、実はUMA男は「仕事をする気が無い人」だった。
一見するとスマートなビジネスマンだったが、その笑顔の裏に隠された社会不適合っぷりを、私は見抜くことができなかった。UMA男は稀代の変人だったのである。
UMA男の愉快な奇行
- 散歩中によく電柱に登りはじめる。
- ある時電話ボックスに登って落下。腕に30㎝の創傷を負い、大量に流血。しばらくロリエスーパーガード(夜用)を腕に当てて生活する。
- 自室内でスケボーを楽しむのが趣味。
- おやすみの挨拶は「悪夢を見てね。」
- 私「なーなー どんな子が好みなん?」UMA男「都合のいい女。」
- サンシャイン牧場にハマった私に「寝てるあいだに虫がついたらどうするの!水もやらなきゃ!ゲームは吐くまでやらなきゃだめ!」 と言って深夜に叩き起こし、害虫を駆除させる。
良い子は真似しないで下さい。
UMA男は謎の絵を描く 「あっ、これアカンやつや‥(察し)」
UMA男はよく絵を描いていた。しかしそれは「絵を描くのが好き」なのではなく、「頭の中を整理するため」に描いるようだった。いらない紙やチラシの裏に、鉛筆でちゃらちゃらっと描かれた変質者的なその絵は、キャラクターの類でもアートの類でもなく、なんのジャンルにも分類できない、初めて見る類のものだった。怪奇的かつ猟奇的で、ありとあらゆる常識を全て排除した絵だった。
UMA男本人は「落書きだよ」と楽しそうに言っていたが、落書きと言うにしては恐ろしいほどに精密だった。この人の精神構造は一体どうなっているのだろうかと、私は大変不安になった。
これをもし精神科医に見せたら即入院を言い渡され、2度と出てこれないだろうな、と察したので、そのままそっとしておくことにした。
ちなみにUMA男曰く「高校の頃、教科書に落書きしてたら、同級生に売ってくれって頼まれたことがある」らしい。おそらくその同級生はUFO研究会所属だったのではないか。もしかしたらあの落書きは、宇宙へ向けた謎のメッセージだったのかもしれない。
人生で唯一私を普通だと言った人
ここで唐突に自己紹介をはじめる。
私はこの世に生まれた落ちた3日後から「この子はおかしい」と祖母に言われたらしい。また、可愛い盛りであるはずの幼児期を振り返った父は「お前は2歳のころから生意気な変人で全く可愛くなかった」と苦々しい表情で述べていた。血液型を尋ねられ「ABです」と答えると皆が納得の表情を浮かべるし、こんな人生は嫌だと修行に駆け込んだ禅寺では尼さんに「あなたはもうそういう人間なんだから直せない。とにかく気をつけなさい」と有難いお言葉を頂いた。
とにかく「変わってる」と100万回言われてこれまで生きてきた。
「え、お前普通だよ。すげー普通じゃん」
宇宙規模の変人であるUMA男からすれば、私は一般的な地球人であった。感動した。
変人である以上に無職なのが問題だった
どうしてその頭脳と個性を生かしてさっさと就職しないんだろうと何度も思ったが、UMA男にそんな気は一切無かったのであった。
UMA男は東京在住で、当時私は大学生だった。
UMA男は私の大学が長期休暇に入ると外人並のVACATION感覚で2〜3ヶ月我が家に滞在し、満足したらふらっと新幹線で星へ帰っていった。もちろんその間、我が家での滞在費は全て私持ち、行き帰りのチケットも私が購入していた。
もう一度言うが、私は当時大学生であった。そしてもう一度確認するが、UMA男は「独立しフリーランスでコンサル業を営む東京在住の自営業社長」であった。一応。たぶん。
最後に:本当に宇宙人だったのではないか説、浮上
色々な事をこうして振り返ってみると、UMA男は本当に宇宙人だったのかもしれないと思い始めた自分がいる。
UMA男はもし本当にちゃんと収入はあったとしても、宇宙の通貨は地球では使えなかったんじゃないだろうか。また、私はUMA男をちゃんとした会社に就職させようと躍起にになっていたが、宇宙人が地球で正規に就職するのはなかなか難しかったのだろう。電話ボックスに登るという常識の無さも、脅威の身体能力も、生理用ナプキン(夜用)を用いた斬新な治療方法も、すべて宇宙人説で説明がつく。
よし、今度は地球人と住もう‥(ゲンナリ)
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