オタクは『伝え方が9割』のとおりに伝えたら結婚できるか?

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目的地までは、車で約30分。
ドライブ中は、ド緊張した。
だが事前に話題をいくつか用意しておいたので会話は弾んだ。

店に到着し、あらためて後悔した。
その中華料理屋はボロいのだ。
看板は3割ほど錆びていて、店名が読みづらくなっている。
玄関の脇には謎の植物が生い茂っていた。




                (写真はイメージです)


きれいなところではないとわかっていたのだが、この店は最強にうまい唐揚げを出す。
唐揚げパワーを信じて突っ込んだ。

だが、入り口の戸がうまく開かない。
建物がボロすぎるからだ。
「あー、最近調子悪いんだ。こうすると開くよ」
と、後ろにいた常連らしきオッチャンに開けてもらった。

床が油のせいでギトギトになっており、歩きづらい。
置いてある漫画は、『あしたのジョー』や『地獄先生ぬ~べ~』だった。

「歴史のあるお店ですね」
「こ、こんなだけど唐揚げはうまいから・・・・・・」
ちょっと汗をかいた。

着席し、メニューを決めた。
唐揚げ以外は青椒肉絲と餃子を頼む。

厨房と隣接する席に通されたので、調理の様子が音で伝わってくる。
鶏肉が揚げられるジュワーーーという賑やかな音を楽しみながら待つ。


唐揚げが届いた。
一つ一つが大きく、男の握りこぶしほどある。
それが5、6個あり積み重なって山を形成していた。
丸いものから平たいものもあり、一部反りかえっているものもあった。
一つとして同じ形はないのがおもしろい。

「食べやすいように切ってもらおうか?」
と聞くと、このままかぶりつくのが醍醐味です、と答え威勢よく口につけた。

熱いのだろう。口をおしぼりで抑えながらもぐもぐしている。
しかし目を見開き、やがて口以外で笑顔になって何度も首を縦に振った。

「地上で一番おいしい!!」

意外なコメントに少し驚いたが、喜んでくれているようだった。
店を出た後の予定は何も考えておらず(このあたりが恋愛経験ゼロのオタクだぜ)
まずいと思ったが、桜さんの提案でドライブして楽しんだ。

デートを繰り返す

初デートのあとも、数回一緒に出かけた。
桜さんは身体を動かすのが好きだった。(元テニス部)
僕もバスケ以外のスポーツも好きだったので、相性がよかった。
ゆったりサイクリングをしたり、卓球でガチ勝負したりして楽しんだ。

だが、僕は告白するのをためらっていた。
(これだけデートしているんだから、OKしてもらえるさ)
という期待と
(フラれたら職場での気まずさMAXだぞ)
という不安で葛藤していた。

落ち込む

思いがけないことが起こった。
海までデートに行った日だった。
帰り際、大事な話があるので聞いてほしいと言われる。
海辺で彼女の話を聞く。

初めてデートに誘われたときは、男性として意識していなかったので驚いたこと。
しかし、出かけてみると話も弾み、運動という共通の趣味を楽しめていること。
ただ、これ以上の仲になると仕事に影響するのでは、と心配なこと。
いつしか気になる存在となり、親友に相談すると「あんた、好きになってるよ」と言われたこと。

それらを語ったうえで、
「付き合ってください」
と言われた。


鼻血が出るほどうれしかった。
砂浜を全力ダッシュして喜びを表現したかった。
しかし、彼女の方から言わせてしまったという申し訳なさ、そして自分の不甲斐なさも感じた。





現在、交際して二年半が経過している。
僕は桜さんと結婚したい、と思っている。
今度こそ自分から言うんだ、と考えている。

大事なのは、プロポーズのシチュエーションと言葉だろう。
悩んでいるが、あの本に頼ることになるだろう。

はたして、

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