家族の崩壊 7 「決定打になった二つの事件」
決定打になった二つの事件
小学校一年の頃の出来事だったと思う。
小学校一年の頃の出来事だったと思う。
土曜日、上履きを忘れた俺は、自転車で小学校に行き、用務員さんに上履きを忘れた事を言い、扉を開けてもらった。
自分のクラスの靴箱を見ると、何名かのクラスメイトも上履きを忘れていた。
◯◯と、◯◯に、◯◯か…。
7、8人の上履きがあったが、そのうちの5人位は家が判った。
俺はその5人の上履きも自転車のカゴに入れると、それぞれの家へ届けて回った。
確か、8時前後だったのだろうか…。
届ける先々で、クラスメイトのお母さん方が、あらー! わざわざありがとう! と言ってくれた。
クラスメイトもニコニコしながら玄関まで出てきてくれた。
中にはお菓子までくれるお母さんもいた。
まさかそんなに喜んでくれるとは思わなくて、俺も嬉しかった。
また来週の土曜日にやろうとさえ思った位だ。
全ての上履きを配り終えると、俺は母に遅くなった説明をした。
処が、話の途中で母がこう言った。
『お前、余計な事ばっかりするんじゃないよッ!』
驚いた。
まさか怒鳴られるとは思わなかったから。
母の言葉は続いた。
『みんなそれぞれの事情があって置いてきてんだ! それを頼まれもしないのに勝手な事しやがって!』
訳が解らなかった。
上履きを忘れるのがそれぞれの事情!?
俺は自分では善い事をしたのだと思ってたし、現にみんな喜んでくれた。
お菓子だってくれたのに…。
母の怒りは収まらなかった。
『いま、◯◯くんのお母さんから電話があったんだよ! 余計な事ばっかりしやがって! こっちにこい!』
母は俺の手からお菓子をふんだくると、ゴミ箱の中に握り締めて棄てた。
そしてこういった。
『血が出るまでひっぱたいてやる!』
突然顔をひっぱたかれた。
泣くのを我慢していたが、それでも殴るので、遂に涙が出た。
しかし母はいつもこう言った。
『また嘘泣きか? お前は泣けば済むと思ってんだから。ほんとにずる賢いよ!』
こうしてとどめにパンツ一丁にされ、メシ抜きの揚げ句外に追い出される。
家の前でパンツ一丁で赦しが出るのをひたすら待つのだ。
更に小学校二年の冬の事…。
一月生まれの祖母の誕生日に、プレゼントを買ってやりたいと思った俺は、近所の洋品店でオレンジ色の手袋を買った。
150円の軍手だが、俺の当時の小遣いは一日30円だから、結構高い買い物だった。
それを買って母に見せた。祖母の誕生日に贈るのだと。
しかし待っていたのは、またもや鉄拳制裁だった。
『お前、年寄りがそんな派手な手袋をすると思ってんのか!?血が出るまでひっぱたいてやる!』
こう言って再びぶん殴られ、パンツ一丁で外に追い出された。
しょっちゅうひっぱたかれて外に追い出されていたが、この二つの事件だけは忘れる事が出来なかった…。
俺はこう思った。
(善い事をしたって悪い事をしたって、結局殴られんじゃねぇか! だったら悪い事してた方が楽でいいや…)
この事件を期に、完全に勉強はやらなくなり、窃盗を繰り返すようになった…。
自分のクラスの靴箱を見ると、何名かのクラスメイトも上履きを忘れていた。
◯◯と、◯◯に、◯◯か…。
7、8人の上履きがあったが、そのうちの5人位は家が判った。
俺はその5人の上履きも自転車のカゴに入れると、それぞれの家へ届けて回った。
確か、8時前後だったのだろうか…。
届ける先々で、クラスメイトのお母さん方が、あらー! わざわざありがとう! と言ってくれた。
クラスメイトもニコニコしながら玄関まで出てきてくれた。
中にはお菓子までくれるお母さんもいた。
まさかそんなに喜んでくれるとは思わなくて、俺も嬉しかった。
また来週の土曜日にやろうとさえ思った位だ。
全ての上履きを配り終えると、俺は母に遅くなった説明をした。
処が、話の途中で母がこう言った。
『お前、余計な事ばっかりするんじゃないよッ!』
驚いた。
まさか怒鳴られるとは思わなかったから。
母の言葉は続いた。
『みんなそれぞれの事情があって置いてきてんだ! それを頼まれもしないのに勝手な事しやがって!』
訳が解らなかった。
上履きを忘れるのがそれぞれの事情!?
俺は自分では善い事をしたのだと思ってたし、現にみんな喜んでくれた。
お菓子だってくれたのに…。
母の怒りは収まらなかった。
『いま、◯◯くんのお母さんから電話があったんだよ! 余計な事ばっかりしやがって! こっちにこい!』
母は俺の手からお菓子をふんだくると、ゴミ箱の中に握り締めて棄てた。
そしてこういった。
『血が出るまでひっぱたいてやる!』
突然顔をひっぱたかれた。
泣くのを我慢していたが、それでも殴るので、遂に涙が出た。
しかし母はいつもこう言った。
『また嘘泣きか? お前は泣けば済むと思ってんだから。ほんとにずる賢いよ!』
こうしてとどめにパンツ一丁にされ、メシ抜きの揚げ句外に追い出される。
家の前でパンツ一丁で赦しが出るのをひたすら待つのだ。
更に小学校二年の冬の事…。
一月生まれの祖母の誕生日に、プレゼントを買ってやりたいと思った俺は、近所の洋品店でオレンジ色の手袋を買った。
150円の軍手だが、俺の当時の小遣いは一日30円だから、結構高い買い物だった。
それを買って母に見せた。祖母の誕生日に贈るのだと。
しかし待っていたのは、またもや鉄拳制裁だった。
『お前、年寄りがそんな派手な手袋をすると思ってんのか!?血が出るまでひっぱたいてやる!』
こう言って再びぶん殴られ、パンツ一丁で外に追い出された。
しょっちゅうひっぱたかれて外に追い出されていたが、この二つの事件だけは忘れる事が出来なかった…。
俺はこう思った。
(善い事をしたって悪い事をしたって、結局殴られんじゃねぇか! だったら悪い事してた方が楽でいいや…)
この事件を期に、完全に勉強はやらなくなり、窃盗を繰り返すようになった…。
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