第39話 パパが女(アリッサ)になったとき LA発LGBTトランスジェンダー家族日記

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アリッサがカミングアウトしてよかったこと


2017年に作った「高山愛の宝地図」こと、ドリームボード。だいたい叶ってるよ。
 
 
 

 

わたしの好きな場所 。Lake  Shrine
 

今回はアリッサがカミングアウトしてよかったこと。
 


20年近く生活を共にした夫が女になったことは、確かにとてもつらかった。地獄を見た。でも、今の自分とアリッサのカミングアウト前の自分を比べると、今のほうが数倍好き。

 

アリッサのカミングアウトは、天から与えられたわたしへの試練。試練を乗り越えたわたしに、天の偉い人がご褒美をくださったのかしら。

 

 

まず、度胸がついて自由になった。周囲の目なんかもう気にならない。怖いものなし。それはアリッサのことだけじゃなくて、わたしが選択するすべての物事に対して。自分が選ぶ道、 服装、付き合う人たち 。付き合いたくない人とは付き合わない。いらない関係はすっぱり切る。自分が着たいと思う服をきて、やってみたいことはなんでもチャレンジする。まわりの目を気にして、我慢するのはばかばかしい。 人生楽しまなきゃ損だと思うようになった。

 

 

自立の道を考えるようになった。カミングアウト前はアメリカ生まれの夫に頼りきりだった。一寸先は真っ暗闇 。 アリッサに好きな人ができて、離婚する可能性だってある。そのときに備えて1人で娘たちを育てていけるよう、家計のこと、キャリアのこと、投資や貯蓄のことなどを勉強して、もっと賢い女になる意欲が湧いてきた。

 

友人知人と深いレベルで会話ができるようになった。 人付き合いが苦手で、いつも表面的な付き合いしかしてなったわたし。今は自分が好きな人には自分たちの経験 をオープンに語るようにしています。そうすると相手も心を開いてくれて、自分の抱える問題を打ち明けてくれる。問題を抱えているのは自分だけでないことがわかり、相手をもっと理解したいと思うようになりました。

 

多様性を容易に受け入れられるようになった。LGBTだけでなく、人種、宗教、身体障害の有無、価値観。すべてをひっくるめて、違いがあって不揃いだからこそ、この世の中はおもしろいと思えるようになった。これは娘たちにも当てはまると思う。アリッサとの経験を通して、娘たちは心の広い人の痛みのわかる人間になったという自信があります。

 

義理の両親に言いたいことを言えるようになった。反対を押し切って結婚したので、義理の両親に気を遣い、いいたいことがあっても我慢して飲み込んでいました。アリッサのことで、たくさん苦労したので、わたしにだって、言いたいことを言う権利があると思うようになり、そうするようになった。自分の気持ちを素直に伝えることで、義理の両親との関係が改善された。

 

負ける賢さを身につけた。例えば、アリッサの化粧が濃過ぎるとき、以前だったら批判していたけれど、今だったら「今日のメーク、すごいゴージャス。似合っているよ」と、うそでも褒めちぎる。アニメエキスポに行きたいと言われたら「楽しんでおいで。帰宅は何時でもいいよ。でも、来週、私もお友達と遊びに行きたいから遅くなってもいい?」と素早く交換条件。相手に勝ちを譲ることで、もっと報酬を得られることを学んだ。

 

美しくなる努力をするようになった。美への努力を惜しまないアリッサとともに生活していると、自然とわたしも努力するようになります。わたしだって、いつか恋をするかもしれないし。

 

 

こうしてみると、いいことづくし。

 

でもね、もちろん悪いこともいっぱい。次回はアリッサのカミングアウトで困ったこと、困ること。

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