アホの力 3-2.アホ、またドタバタする
次話:
アホの力 3-3.アホ、開く
『べんりDaDo』に続く新たな場をつくろうと、場所を探しているところで出会ったボロボロの建物。
その建物は、地元の人が『旧国道』と呼ぶ、街を南北に走る県道と、街のほぼ中央を東西に貫く県道が交わる交差点に面した、とても目立つ場所にあった。話によると、その時点で20年ほども空家となっていて、外から見てもボロボロの荒れ放題になっていた。
そのおかげもあって、賃料が非常に安い。場を開く準備資金の無い私には、その事も大きな魅力だった。
何より、先にも書いた通り、自分で手直しする事で『自分好みに』内装をつくる事が出来る事が良かった。
その場所を借りるに当たって、アリーやザックに『ここ借りるヨ』と報告はしたが、『ここ借りて良いと思う?』と相談はしなかったように思う。その場所に出会った時点で、借りる事は決めちゃってたという訳だ。
では中を見てみよう。不動産屋にシャッターを開けてもらい、建物の中に入る。
『うわっ…』
思わず声が出てしまいそうになるほど、中はボロい。
ホコリだらけで模様が見えず、ワタボコリが風で転がりまくってる床。
大穴が開いて外から風が入りまくる壁。
電気の配線すら外された、丸裸の天井。
こりゃ凄い。
私一人でどうにかなるものでは無かった。
さすがに一人で建物を見に行って決めてくる事は出来なかったので、その時はアリーとザックに同座してもらっていた。中を見て一瞬たじろいだものの、それを見た二人からも『手伝うよ』という言葉がもらえたので、速攻で迷いは消えたのだった。なのでそこを借りる事は即決。
後はそこをどう改造するかだったが、そんなプラン用意してるはずが無いし、プランをつくってくれる人もいない。
どうするか…思いつきと誰かのアイデアにタダ乗りする事が、唯一の解決方法だった。
先ずは掃除。
次は壁の補修とペンキ塗り。
さらに天井の電気配線と照明の取付。
…ぜ〜んぶ仲間に手伝ってもらった。特に電気の配線などは、技術のあるザックにまるっと全部やってもらった。
無報酬で。
そうしてお願いするしかなかったのだから仕方がない。
さらには、誰かが『こんな風にしたら?』と言ったアイデアは、ありがたくそのまま頂戴した。
建物を借りたのが4月初め。そこから場をオープンさせるまでの期間は、1ヶ月という事にした。私の誕生日が5月18日なので、その日に仮オープンさせようという事だ。という訳で、とにかく突貫工事を進めたのだった。
今にして考えてみれば、それはずさん過ぎるくらいずさんな計画だ。けど、その頃一番大事にしていたのは、そのスピード感だった。
勘違いと思い込みでやって行くには、スピード感が重要なのだ。
何せアホだから。
そんなこんなで、凄まじくドタバタな準備期間を経て、いよいよ場を開く事になる。
ノーマネー、ノープラン、ノースキルな奴が開く場…さてどうなることやら。
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