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アホの力 3-6.アホ、太陽の下に出る

Image by Olia Gozha

さて、微妙に出っ張ったりへこんだりしながらも動き出したみみセン。

丁度この頃、同時並行で進めている企画があった。


子供達の夏の遊び場企画である『みんな共和国 手のひらを太陽に!大作戦!!』だ。

春の遊び場開催中、来場していた親御さん達に『夏の遊び場』について話を伺った。


『夏は室内遊び場って訳にはいかないよね』


『外遊びさせたいよね』


『放射能は気になるけど、夏は外が良いよね』


そうした声が集まった。そりゃそうだろう。夏はやっぱり太陽の下で遊びたかろう。室内では、いくら冷房完備の会場を使っても、思い切り遊ばせるには暑いし狭いし。

しかし時期は2012年。ここ南相馬では、まだまだ放射能パニックは続いている。この頃は、学校での屋外活動の制約はすでに無くなっていたが、外で子供を遊ばせている場面は全く見られなかった。

こんな中で、果たして我々みたいな普通の市民が、外遊びなんか取り組んでいいのだろうか…これは本当に悩ましいところだった。原発事故の人体へもたらす影響は、日常生活に支障をきたすほどではないというエビデンスは、この頃少し言われ始めたところで、一般的には広まっていなかった。そんな中で外遊びを推奨するような事をするのは、批判の的になるんじゃないか。もし万が一の事が起きた時、どうするんだ。仲間内からこんな意見も出た。ちょっとここは慎重になりなさいと。

でも、子供達は外遊びが思い切り出来ない事で困っている。そのせいで体の発育に偏りが出ているというデータもある。子供達には、太陽の下での外遊びは絶対に必要なのだ。

 


だとしたら、何とかする以外に選択肢はあるまい。

仲間内でも侃侃諤諤の話し合いの末、


『夏休み期間中は屋外の遊び場を開こう!』

という事が決まった。


 


とはいえ、いきなり『この遊び場は安心して遊べますよ』と言ったところで、誰も信用してくれまい。

じゃあどうしよう…ここでこんな事に気付いた。


“『安心』と『安全』は別のものなんじゃないか”


“いくら『安全です』と言われて、その根拠を示されても、本当に『あー安心した』とはならないんじゃないか”


だとしたらどうする…そこで、こんな結論に至った。


“『安心』『安全』という言葉は、個人個人の判断であって、我々が主張出来るものじゃない”


“我々は出来る限りオープンにデータを開示し、きちんと説明して、あとはそれを見た人に判断してもらおう”

かくして、2012年の夏に、原発30km圏内に位置する街で、屋外遊び場をつくる取り組みが始まった。


へこんでる場合じゃ無かった。ガシガシ取り組まないと。

けどこの取り組みの中でも、へこまされる事に…なるといえばなるのだが。

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