アホの力 3‐9.アホ、安心する
2012年8月1日『みんな共和国 手のひらを太陽に!大作戦!!』が始まった。
当時は依然として放射能パニックが続いていた。
そんな中の外遊び…果たして子供達は遊びに来てくれるかな。抗議の街宣車とか来たりしないかな。
内心ハラハラしながらのスタートだった。
3月の屋内遊び場『みんな共和国』開催の時に来てくれた、静岡の冒険遊び場『たごっこパーク』のたっちゃんとみっきぃと子供達が、手伝いと遊び場のノウハウ指導に来てくれた。たっちゃんたちと共に、会場となる高見公園にテントを設営し、準備をしながら子供達が遊びに来てくれるのを待っていると、ぽつぽつと参加者がやって来た。春に開いた屋内の遊び場の時のような、爆発的に子供達が来場するといった感じじゃない。遠巻きに様子を眺めてから、ようやく参加するといった感じだ。
仕方がない。2012年の南相馬は、まだ子供の外遊びはタブーな雰囲気があった。実際に健康被害があるかどうかに拠らず、子供を外で遊ばせていると後ろ指を指され『子供を外で遊ばせてるよ。どういうつもりなんだろう?』と言われたりした時期だ。そんな中での屋外遊び場だ。そりゃ様子も見るだろう。
たっちゃんたちが、ブルーシートを使って手製のプールを作ってくれた。公園には水飲み場水栓があり、そこから水を引いてプールに貯めようというのだ。そうして作った手製のプール以外にも、市内の団体『復興浜団』から寄贈していただいたビニールプールがいくつかあった。やっぱり夏と言えば水遊びは外せない。遠巻きに見ていた子供達も、水遊びの引力には敵わない。そんな子供達が親御さんと一緒に遊び場の参加受付に列を作り始める。
その日の昼の時点で、50人ほどの参加者がいただろうか。
昼休みの時間を使って、みんな共和国に関わっている仲間達も集まってきた。公園で遊んでいる子供、それを見守るように眺めている大人。会場全体に、賑やかだが緩やかな空気が流れた。
南相馬の子供達は、外遊びに慣れていない。制限されていたのだから仕方がない。そんな子供達を引っ張ったのが『たごっこパーク』から応援で来てくれた子供達だ。率先して色々な遊びを生み出していき、どんどん遊び場の雰囲気をつくっていく。
見る見るうちに、遊び場にブランコやターザンロープ、ハンモックなどがつくられていく。この子達の『遊び力』も凄い。そんな『たごっこパーク』の子達に引っ張られて、南相馬の子供達も走り回って遊び出す。当時はタブーとされていた土に触る事も普通にし出す。除染して入れ替えた土だ。汚染は無い。
この場は、場づくりに関して素人の私が勉強する『学びの場』ともなった。屋外遊びの仕方、遊びの見守り方、会場のつくり方等々、とてもたくさんの事を学ばせてもらった。
そしていつの間にか、子供達と一緒になって遊んでいる私がいた。
『これならいけるかも』
何となく安心した開催初日だった。
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