ひかりの星の物語

それはとても美しい星でのできごとです。
夕方から雨が降りはじめ、家の軒下には、2つのてるてるぼうずが
かかっていました。
そうです。明日はひかりちゃんの幼稚園の遠足がある日です。
きょうの天気予報では、

あすは雨。ところにより雷雨があるでしょう。
降水確率は100%です。

という予報でした。

だからひかりちゃんは2つのてるてるぼうずに
一生懸命お祈りしたのでした。

2つのてるてるぼうずのうち1つは昔ながらの白い布にピンポン玉を
くるんでにっこり笑っているもので、
ひかりちゃんは『てるてるぼうずのお父さん』と呼んでいました。

もう1つのてるてるぼうずは、お父さんよりちょっと小さくて、着ている服もその日の天気によって色が変わる、不思議な特殊繊維でできたものでした。晴れの日なら黄色、くもりは赤、 雨なら青に変わるのでした。
ひかりちゃんは『てるてるぼうずくん』と呼んでいました。

なかなか寝付けないひかりちゃん。
何度も何度も寝床から抜け出して、てるてるぼうずさんたちにお願いするのですが、てるてるぼうずくんの服が、ずっと青のままなのを見て、がっかりしては帰ってきました。

てるてるぼうずのお父さんは久しぶりの大役に大ハッスル。
ひかりちゃんの望みを何とかかなえてあげようと一睡もせずに気合いを入れていました。

「かぁー。トぁー。どおりゃあ。
おのれ雨のやつ、なかなか手ごわい。
とおりゃあー。
わしのおじいちゃんなどは台風も気合1つで吹き飛ばしとったもんじゃ。
とあー。おい、てるてるぼうず。おまえも協力せんか。」
と息子のてるてるぼうずくんに命令するのですが、てるてるぼうずくんはそんな昔ながらのお父さんのやり方には批判的で、

「あんな非科学的なことばかりしているから、てるてるぼうず界は落ちぶれていくんだ。もっと時代のトレンドにあわせて、
てるてるぼうずも変わらなきゃならないんだ。」
と全く無視するのでした。

それどころかてるてるぼうずくんは、明日の天気予報を気象台に電話で聞いてその天気によって服の色を変えるというトレンディボーイでした。だから明日は雨だと聞いて青い服を着たまま早々と眠ってしまったのでした。

それでもてるてるぼうずのお父さんは諦めません。雨音は次第に激しくなり、風も強くなり、やがて雷まで鳴り始めました。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ドドーン

さすがのお父さんも少しひるみましたが、それでもひかりちゃんの顔を思い浮かべてがんばるのでした。
 
てるてるぼうずのお父さんの迫力に、いったい何が起こったのかと、昔からのお父さんの親友であるみっかぼうずのおばさんときんかんぼうずのおじさんが駆けつけました。

「いったいどうしたんだ。てるてるぼうずのお父さん。」

「おう。みっかぼうずにきんかんぼうず。
明日はひかりちゃんの幼稚園の遠足なんじゃ。 絶対雨をやませなきゃならんのじゃ。協力してくれ。」

「うーん。そういわれてもぼくらにはそんな力はないからなあ。」
しばらく2人は考えて、


「よし。それでは、このひかりの星の全てるてるぼうず界の人たちを起こしてお願いしてみよう。」
そういってみっかぼうずのおばさんときんかんぼうずのおじさんは激しい雨の中を走っていきました。

そして、家の軒下にぶら下がっているてるてるぼうずをかたっぱしから起こして、

「気合いを入れてほしい。」
とお願いしてまわりました。

「よおーし。それじゃ。久しぶりにやってみるか。」
と、ひかりの星のてるてるぼうずたちが次々に起き上がり、気合いを入れてくれはじめました。

「とおー。たあー。」
そして、ひかりの星中の全てるてるぼうずたちの心が1つになってその激しい雨に立ち向かったその時

やあああああー。どおりゃあああああ。

渾身の願いを込めた気合いの声が、一瞬美しいハーモニーとなってこだましたかと思うと、黄金色に輝く光の柱が轟いて天空を突き刺しました。

翌朝、「チュン。チュンチュン。」というすずめの鳴き声でひかりちゃんは目を覚ましました。
目をこすりながらふとんの中からそうっと庭を見ると、そこには太陽の光をいっぱいに浴びた チューリップの花が咲いて、その葉っぱや茎に透明な水玉がキラキラ輝いていました。

「おとうさん。おとうさん。晴れたよ。晴れたよ。」
と言って飛び起きて、窓をいっぱいに開けました。
そこには、びしょぬれになったてるてるぼうずのお父さんと、青い服を着たままのてるてるぼうずくんが軒下にぶら下がっていました。
ひかりちゃんは何度も何度もお礼を言って、お弁当を作ってくれているお母さんのところへ走っていきました。

「てるてるぼうずさんたちががんばってくれたわ。お母さん。」

「よかったわね。」
と言ってお母さんは、てるてるぼうずのお父さんにウインクしました。

てるてるぼうずのお父さんはちょっと照れくさそうにしていたけれども、クルッと向きを変えて、庭にきてくれていたみっかぼうずのおばさんときんかんぼうずのおじさんに

「ありがとう。」
と満面の笑みを浮かべてお礼を言いました。
空にはいつのまにか美しい7色の虹が、きょう、ひかりちゃんが遠足に行く千坊山の向こうまで輝いていました。


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