それは神がかり的な出会いから始まった~その6
日本式家屋があるところまで歩いて10分ほど。
そんな距離でもないのに遠く感じます。
舗装されていない小路を歩きながら
義母と叔母の顔は紅潮していました。
![](https://pic.storys.jp/t/1322/ff74359f.jpeg)
あっ!!
家を見た2人の動きが一瞬止まりました。
思考が過去に飛んでいってしまったのか、
あまりの懐かしさに身動きができないようです。
「お義母さん、これが60年前と同じ家?」
義母と叔母に見えているのは
少女時代の官舎なんでしょう。
2人とも遠い目をしています。
「あぁ…信じられない。
ペチカも屋根の形もそのままだ」
「まさかあの頃の家を見られるなんて!
もう何もかも夢みたいで、言葉にならない……」
「あっ!このアザミの花!」
「そうそう、家の周りにもアザミがたくさんあったよね」
![](https://pic.storys.jp/t/1323/eefbcb29.jpeg)
そこは2人が毎日通った楽しい通学路。
線路を歩く笑顔の2人を
古い家が見送ってくれているかのようでした。
「そうか、この家が私たちを呼んでくれていたんだ。
取り壊される前に見に来て!と、呼んでいたんだね」
そんな話をしながら駅への道を戻っていると
案内の方がこう言いました。
「そういえば、この駅舎も1年後に取り壊されるんですよ」
ええーっ!!
また鳥肌が立ちました。
「私なんだか恐くなってきました」
ガイドのEさんが、こんなことは初めてだと両腕をさすっています。
どうして今年の6月に来る気になったのか、
なんで急かされるような気がしていたのか、
やっと分かりました。
平泉の街は、駅を境に
新市街と旧市街にくっきりと分かれているのです。
タイムスリップしたのかというほど
時代に取り残された感じの旧市街。
この古い街並みが、取り壊される前に
昔を知る人を呼んでいるのではないでしょうか。
平泉に着いて、
鳥肌が立つようなミラクル体験をした私たちですが、
この後、さらに驚きの体験が!!
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