偏差値27.5からの大学合格 その25

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同期の仲間は・・・
 3月下旬、一緒に浪人したIが1月に自殺したという連絡が来た。
 同じ浪人組に気を遣い、ご両親はこのことをふせていたそうだ。
 それぞれが大手予備校に進む中、彼は一人で私たちと違う小さな予備校に通い、孤独に勉強していたらしい。動機は、受験のプレッシャーらしいという話だった。
  5月の連休のある日、渋谷の王将で高校のクラス会が開かれた。浪人組も合格したのでというわけだ。
 しかし、浪人組で六大学に合格したのは私だけだった。選抜クラス、早慶上智コースのメンバーは、みな滑り止めに合格することが精一杯だったようだ。
 短大に進んだ同級生が就職活動を始めたという一方で、私の大学生活は始まったばかりである。
 6月、井の頭線渋谷駅で、一緒に浪人したHに偶然会った。
 一浪してT大学に入ったHは、仮面浪人するんだと言っていた。
 その1年後の6月、同じ場所でHと偶然あった。タンクトップを着て真っ黒に日焼けしていた。
  「○○大学に受かってさぁ。サークルで合コンなんだ。先月は沖縄だったんよ・・・」
 早口にしゃべるH・・・肝心の大学名が良く聞こえなかった。
 8月、同級生のNの訃報が届いた。
 Nは、付属の大学にエスカレーターで進学して2年生だった。
 菅平で行われた大学ラグビー部の合宿中に、脱水症状を起こして死んだ。
 父の黒い服を借りて真夏の葬儀に出た。終わって、八王子駅前の居酒屋でみんなで飲んだ。
 季節が巡って翌年の四月、二浪組が早稲田、慶応に合格し、仮面浪人組の消息は消えた。
 私は、大学2年生になった。
 成人式は、大学の後期試験中でそれどころではなかった。

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