発見や発明 2.2 常識よ、サヨウナラ(1)

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 節電虫(益虫)には2つの非常識が存在します。その一つは待機中というか、電話やファックスが入ってくることをモニターしている最中はいっさい節電虫(益虫)自体が電力消費しません。すなわち見張りという仕事をしているにもかかわらず電気を消費しないのです。そして、その時は当然節電虫(益虫)が電話やファックス機器の電源をオフして機器の電力消費をゼロにしているために節電虫(益虫)と機器の電力消費量の総和はゼロになるのです。

 電気エネルギーを使用せずにモニター、仕事をするというのは常識ではありません。この点は省エネ大賞の2次ヒヤリングの時に一色東大名誉教授(当時)からご質問を受けました。

 さらに、もう一つの非常識は待機消費電力を一気にゼロにしてしまうことです。ご存知の通り待機消費電力量を何段階かに分けて、あるいは改善して旧製品よりも魅力的なものにすれば消費者の購買意欲を何回もそそります。それが買い替え需要を喚起し販売量を増加させます。これは営業手段としては当然です。この考えや方法は他の多くの商品に適用されてきた常識的営業手法です。ですから節電虫(益虫)のように一気にゼロ化、一気にベストな状態に持ってゆくことは非常識なのです。

 バブル時代に車のモデルチェンジが非常に短いサイクルで行われて販売量が増加したのも記憶に残っています。

 いきなり待機消費電力量をゼロにして、すなわちこれ以上はないというベスト状態にして商品化する。この手法は技術者の心、気持ちは満足させても、買い替え需要を期待する営業戦略としては賛成できないことでしょう。また業界が横並びとなっているのに一社だけ抜け駆けもできないでしょう。常識にがんじがらめに縛られています。

普通だったら、あるいは長引く不況やデフレで多くの消費者の考え方が変化しなかったら、また環境意識が今日のように高まらなかったら節電虫(益虫)みたいな非常識商品は単なるアウトサイダー商品、憎まれ商品でその一生を終えるのがその運命だったでしょう。

 しかし、世の中は、特に日本はバブルの浮かれ時代から不況、デフレ時代を経て地球環境を無視できない21世紀に突入して、今までなら、普通なら非常識商品はアウトサイダー、憎まれ商品だったであろう節電虫(益虫)に追い風が吹いてきたのです。辛抱はしてみるものです。1996年6月の節電虫(益虫)開発からすでに満8年が経過していました。

 新商品のPR方法ですが、大手企業の常識では宣伝費をかけて消費者に知ってもらうという手法が考えられます。貧乏な小企業ではそれは不可能です。ではどうすればいいか。貧乏であるがゆえに考える、工夫しなければいけません。工夫は貧乏から生まれるのです。

 2002年度にノーベル賞を受賞されたお二人の一人、ノーベル物理学賞受賞者の小柴東大名誉教授が予算は満額でなく70%程度がよいと言われていた、と記憶しています。これは足りないところがあれば人間は工夫し何とかするものだし、その方が良い結果につながる、ということを言われているのだろうと私は解釈しています。

 私の言う適度な貧乏とは収入が多くはないという側面の他に、借金をしてまで仕事をすることはない、借金は悪だ、という考えからきています。この貧乏、考え方が節電虫(益虫)PRの方法を私にいやおうなく工夫させ、考えさせました。

私のとった方法は私の仕事の内容をすべて、通訳や翻訳業務、ラジオのパーソナリティーやテレビ番組制作などの話題を含めて、すべてを不定期であってもマスコミに情報提供して取り上げてもらうことでした。節電虫(益虫)の進歩の状況をマスコミに情報提供することでした。もちろん取り上げていただく情報とするために色々な表彰制度に応募して受賞の度にその情報を提供しました。これは常識的な手法でしょうが、私のような個人経営者が行っている例は少ないかもしれません。その意味では多少非常識かもしれません。

(私は数年間は有限会社組織で仕事をしていましたが、貧乏ながら無借金経営では法人のメリットはあまりなく、2001年に個人事業者に逆戻りしました。うがった考え方かもしれませんが、法人という制度も政府の、あるいは地方自治体の集金方法、管理方法の一つでしょう。法人という立派に見える、聞こえる形よりも自己責任を明確にして他人に迷惑をかけない格好悪い形の個人事業者でも私はかまわないのです。信用調査を行う会社の評価は最低でもかまわないのです。見かけよりも中身は長く付き合っていけば理解していただけます。)


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