発見や発明 2.2.1 常識は誰がために

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 こうしてみると常識というのはけっこう利己的な自分のためで、広く世の中のためと言うには疑問の残ることも多いようです。

 その例として利便性の常識があります。テレビでもリモートスイッチ、おやすみタイマー、チャンネル表示などなど多くの利便性を備えています。スイッチのオン・オフ以外、ほとんどの機能はメーカー論理による押し付け的な利便性です。機能は多ければ多いほど良いという麻痺した常識から来ているのです。使わない機能、使用頻度の少ない機能は付けることが環境的な負荷につながるという常識が失われた結果です。機能は機能利用、利便性のためではなく価格吊り上げ、商品差別化の手段であるというのがメーカーや開発者の常識であるように思えます。

機器の利便性は常に環境負荷とのバランスにおいてその機能を採用するか否かを決定すべきです。更に機能が省エネや環境保全に役立つものであれば単機能でも使用すべきです。決して価格吊り上げや売らんがための営業目的の機能と抱き合わせてはいけません。結局は誰のための常識かを考えればおのずとその道は決まります。

 かつて、生産性を向上させるために人間、労働環境、自然環境などは二の次になり犠牲になった時代がありました。1960年代の日本は公害列島となりました。この時期に多く使用されたアスベスト(石綿)は30年、40年を経過して今多くの作業者やその配偶者の死で恐ろしい正体を現しています。

21世紀の今、生産性は環境との共生、省エネルギーや新エネルギーを考慮せずには論じる事は不可能となりました。環境、エネルギー問題を考えた生産性が常識となりました。この常識は私たち自身のため、私たちの子孫のためであり、失ってはいけない倫理的常識です。

 しかし、依然として規制値以下であれば道義的責任も感じない人々がいます。また少量だから、他人もやっているからと日々の生活での排水で河川や海を汚し続けている人も多くいます。家庭排水を浄化せずに河川に流している人はすべてこの中に入ります。

 話は替わりますが、私は2001年11月20日(火)~24日(土)にかけて台湾の台北で行われたアジア諸国の国際フォーラムに出席しました。フォーラムのタイトルはGreen Productivity through B2B Cooperation on E2 Commerce でした。日本語に訳せば「エコ&電子商取引におけるビジネス協力を通じた環境に優しい生産性のあり方」 ということになります。

 このフォーラムは国際機関、アジア生産性機構(Asian Productivity Organization

ホームページアドレス:http://www.apo-tokyo.org/ )の主催でした。出席者はアジア15カ国から約110名(主催者側16名、専門家19名、参加者43名、オブザーバー32名でした。私は日本からの参加者2名の内の一人として参加し、官民関係者と一緒に「環境と生産性を念頭においたE2(電子・環境取引)におけるB2B(ビジネス間)協力」についてが現状、問題点、応用、実施などを討議しました。

 このフォーラムでは日本の電機、通信、コンピュータ、周辺機器メーカーなど大企業7社、インド、シンガポールなどからの会社がプレゼンテーションを行いました。それらの情報を参考にして参会者全員がいくつかのグループに分かれてグループディスカッションを行ないました。

 日本からの大企業は異口同音にリサイクル・リユース、ゼロエミッション(毒物、廃棄物)、グリーン調達など環境に配慮した生産活動について報告しました。しかし、残念ながら、彼らの報告の中には環境に配慮した技術をアジア諸国に開放するという言葉はありませんでした。同じ日本人として恥ずかしいと感じた私は環境と生命に関する技術は独占せずに早い段階で開放すべきであると主張しました。

 このような考えはマイナーかもしれなませんが、日本発の進んだ環境生産技術が世界の多くの人々によって感謝されるように早く技術移転されることを希望しています。

 このフォーラムでの私の感想ですが、

1)ほとんど全てのビジネス活動において環境(エコロジー)を念頭においた注意深い行動が求められており、日本がEMS(環境マネジメント)で世界の企業、団体、グループに対して果たすことができる役割は大きい。

2)KECの節電虫(益虫)に即座に関心を示す国々もいくつもあり、今後継続的かつ密接な連絡を取ることが必要である。(無償技術移転)

3)環境、生態系を無視した活動が地球上では益々困難になっていることを改めて実感し、今後の仕事の方向を定め、少しでも役立ちたいという気持ちを一層強くした。(ISO14000に沿って)

4)KECの進める省エネルギー、節電装置開発の方向性が正しく、一企業の利益に止まらず、”ゼロ”の時代には社会的に有益な事業であることを再認識した。

5)大企業はリサイクル・リユース、ゼロエミッション(毒物、廃棄物)、グリーン調達が可能であるかもしれないが、これが下請企業への圧力になっていないことを希望する。

6)消費者はリフューズ(拒否)すること、我慢することを実践しリサイクル・リユースにも積極的に取り組まなければいけない。


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