省エネ転じて福となす 3.1.1 五体満足の体 (2)自立性

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自立性については、人間ほど文明が進化(?)すればするほど自立性が失われてゆく動物はいないのではないかと思います。

次に、私が経験した(する)社会的変化についてみてみます。

1)高度成長安定 → ゼロ・マイナス成長と大失業

 1955年から1973年の高度成長時代は1960年7月に総理大臣となった故池田勇人の所得倍増論などの日本狂騒曲を含み、その後の1986年のバブル時代突入と1990年のバブル破裂を経て、今日のリストラ不況、マイナス成長デフレ時代へとその楽章を変えて来ています。栄枯盛衰は世の常、と言った先人は20世紀から21世紀をも見通していたのでしょうか。それとも自然の摂理なのでしょうか。私は後者だと思います。いつまでも同じ人、会社、国が繁栄を謳歌するのは不公平ですから交代すべきです。機関車役は入れ替わり立ち代り交代すればいいのです。日本は過去の事実は事実として受け止め反省し、機関車役から補助役に自己降格し休憩すればいいのです。このような後退局面ではとかく自立が遅れるということも懸念されますが、返って後退による不足環境条件下では生物的本能で自立と延命、たくましさが戻ってくるのではないでしょうか。私はそれを期待しています。後退は必ずしも悪い面ばかりではないはずです。これからも続く後退局面で私が注意したいと思っていることがいくつかあります。

2)オール マイティー → コア マイティー

 スーパーマンのようにすべてができる人の数は多くはありません。ほとんどいないと言っていいのではないでしょうか。すべてができると思っている人のほとんどは自信過剰、うぬぼれでしょう。21世紀の社会では人間の個性ある価値観や能力、技術、コア・マイティー(中心になる能力)を重視してその組み合わせで色々な物、サービスが生まれるでしょう。金太郎飴的でない社会が21世紀型の社会と言えるのでしょう。

 このコア・マイティーというのは人生の早い段階、例えば20歳代から意識的に身につけることも可能でしょう。しかし、社会で要求される能力は時代の変化と共に変化しますので50歳台で各自の経歴や経験を通じてバックボーンとして長期にわたり自然的に確立するのではないかと思います。逆に、人生のバックボーンとなる能力が身に付かない、見つからないのは悲しいことかもしれません。私の場合は英語能力だと思います。30歳代で始めた学習塾、30歳代半ばで始めた技術翻訳通訳、40歳代で始めた国際ビジネス企画支援、40歳代半ばで始めた節電装置開発、57歳で始めた遠隔施錠技術開発のすべてに英語能力がバックボーンとして一つの筋のように支えになっています。節電装置や遠隔施錠技術開発と英語とは関係ないようですが、インターネットを通じてのPRや技術紹介、海外での技術紹介に英語力は必要不可欠です。私の始めたすべてのジャンルの業務に英語が有益で必要なのです。

3)グループもたれ合い・責任者不在 → ゆるやかなネットワーク・自己責任明確化

最近の企業の動きを見ていますと合併、提携という名のもとでのもたれあい全盛期という感じです。命ある企業だから延命したい気持ちも理解できないわけではありませんが、所詮命あるものは死があるのですから、のたれ回るよりむしろ使命を終えたら葬ってあげる方がよいと思います。もたれあって責任もとらず、ごまかす手法は個人には許されないが大企業、グループ、政党などには何故か通用しているのです。

提携するなら、お互いの自主性を尊重してゆるやかなネットワークを組んで、それぞれの会社や組織には責任者が必要です。その方が事業としての効果は出るのではないかと思います。ダメなら責任を取って退場しやすくするのです。現在の合併、提携は従業員を削減するための手段です。責任回避の方法です。市場が小さくなったり、競争力が衰えたためにお互いの傷をなめあって延命しているのです。いさぎよく経営者として、高級給与取得者として責任をとって出直すなり、舞台から降りるなりしてほしいと思います。往生際が悪いのは見苦しいだけです。

4)秘密主義 → 情報公開

 秘密主義が続かないことは政治的には独裁主義が永続しないという歴史的事実が証明しています。少し前の例では雪印乳業の件や日本ハムの件、最近では大阪市役所やいくつかの県警などの例で実証済みです。秘密を守るスリルと秘密を持つある種の優越感が情報公開を阻害しているのでしょうか。または、少しぐらいは許される、わからないだろうという気持ちなのでしょうか。

 もちろん情報公開に馴染まない情報も多くあるのでしょう。公的な機関の情報はできるだけ公開してその正当性を常に問う必要があると思います。公務員が退職日に特進するというような制度は今までに隠されてきた秘密でしょう。正当性の認められないような制度による恩恵はすべて過去にさかのぼり処分すべきでしょう。処分の対象は制度を作った人、制度の恩恵を受けた人もすべてです。

 IT技術によって個人、企業、社会のいずれも情報公開できる環境が整ってきました。この恩恵は大きいように思います。小さな存在であっても情報発信やPRが可能です。規模の論理だけで今までは太刀打ちできなかった大企業にも不正義があれば告発できます。以前、中小企業は独自技術を大手企業に盗まれるという恐怖観念がありました。今日そのようなことが行われた場合、インターネットで訴えたり、知らせたりすることもできます。大手と言えども無茶な要求や言動、侵害はできなくなっています。

5)自社内調達 → アウトソーシング 

 戦後すぐには裾野産業がすぐには育たなかったために、また利益の独占傾向が強かったために、バブル時代まではすべてのことを自社内で行う、調達するという手法がとられました。このような産業、生産形態ではどうしても多品種小ロット生産になり品質管理や納期などの点において選択と集中である物やサービスに特化した企業には太刀打ちできません。収益力が急速に落ちてきて存在そのものを脅かされるようになってきました。

 得意分野に特化して不得意分野は得意な他社にまかせるといったアウトソーシング手法が最近では珍しくはなくなってきました。アウトソーシングが万能とはいかないまでも得意分野を持った個々の特徴ある企業がゆるやかなネットワークを組む、連携するというのは効率的で自主性をお互いに尊重する対等な関係、大人の関係です。しかし、いくつかの企業が集まれば主従関係ができて下請け、孫受けなどの形になるのもまた事実です。自動車産業や家電品産業などはその範疇なのかもしれません。この主従関係になると対等ではないので、お互いにハッピーな関係でなく、泣かせる側と泣かせられる側、ある意味では搾取する側と搾取される側に分かれます。これは悲しい関係です。アウトソーシングにはこのような不幸な形での主従関係が生まれることが多いのです。主従関係でなく対等関係を重視する規模の大きな企業側の経営者は単なる経営者としてでなく人格者でないと勤まりません。現在のアセンブリー産業(自動車、家電など)の中にどのくらいの人格的経営者がいるでしょうか。自社の利益のために納入価格を一方的に下請け会社に通告する会社とは縁を切りましょう。そのためにも得意分野だけの仕事に集中せずに、早めに次の仕事の芽を育てる、勉強をすることが今まで以上に必要となってきています。そうすれば無茶な要求にNOと言えます。

6)終身雇用・年功序列 → 年俸制・実力・資格主義

 終身雇用・年功序列による巨大組織が日本丸の推進力になったことは明らかで、大きな経済的貢献をしました。しかし、それは産業が未発達で、物不足時代で、欧米に追いつき追い越せという共通の目標があった時に有効なシステムでした。しかし、物やサービスが十分に行き渡ると生産量が頭打ちになり、あるいは生産量が下がる成熟社会では終身雇用・年功序列は生産性低下、不効率の原因になります。すなわち賃金の割には働かない、さらには巨大組織のためにサボってもわからないようなことにもなります。今日、困難に直面している大企業はこのような大企業病を患っているのです。この病気にはやはり外科手術が必要で、細分化して風通しを良くして不効率部分を切除しなければいけません。働かざる者、給与をもらうべからず、は当然です。

 不効率部分を切除した後はさらに年俸制・実力・資格主義を取り入れます。そして、これらの情報、人、給与の関係をすべて情報公開するのです。なぜあの人が部長で、なぜあの人の年俸が○○万円であるのかを社内で白日の下にさらすのです。年俸制・実力・資格主義もすべて情報公開しなければ意味がありません。

7)与えられる仕事 → 作り出す仕事

 与えられた仕事をこなすのも確かに能力です。しかし、仕事を作り出し、それをこなし、そして利益につなげる人の方がもっと能力があります。とは言っても大企業は組織で動いているのだから無理だという人も出てくるでしょう。そのような場合は組織を細分化します。やってみることです。

 小企業は仕事を作り出してその仕事をこなし、更に利益をあげなければ即死活問題になります。仕事を作り出す能力が最も大切な資質です。では、あたらしい仕事はどのようにして作り出すのでしょうか?簡単ではありませんが、一つのコア・マイティが存在すればいくつものバリエーション、仕事が作れます。例えば英語をコアとした場合、学習指導(個人、グループ、子供、大人、女性のみ、男性のみ、老人対象などなど)、翻訳・通訳(電気、機会、バイオなど多数の分野別仕事、企業への派遣・出張などなど)これらにIT技術能力が掛け合わされれば、その仕事の数はすぐに数倍にはなります。さらに能力的に不断の自己改革と新しい能力を付け加えれば仕事の種類はユニークになり、その数もどんどん増えます。

 以下の写真では脱サラ独立後から2019年までに前向きに過去を生かしながら展開した仕事史です。


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