節電虫の誕生 4.1.6 できるだけ完璧に、常識からの脱却

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節電虫(益虫)の開発の最も大切な目的がファクスなどの機器待機中の電力消費をゼロにすることにあるのですから、節電虫(益虫)でファックスなどの機器の待機消費電力消費がゼロになっても、節電虫(益虫)自体に待機消費電力消費が生じるのであれば、真の意味での節電にはならないのです。

それは待機消費電力量の“減少”であり、待機消費電力量の“ゼロ化”ではないのです。待機消費電力量はゼロでなければ意味がないのです。もう一度、申し上げますが、待機消費電力量はゼロでなければ意味がないのです。

この考えは電気や電子を業とする専門家には「むちゃくちゃ」に思え、最初は理解してもらえませんでした。彼らには私の考えは非常識だったのです。当然です。前述しましたように、あるいは先人が証明していますように、何かが動作するのにエネルギーゼロで動作するはずはないからです。人間に当てはめれば、食事をとらず働きなさい、と言っているのに等しいからです。

しかし、節電虫(益虫)一号機は「送受信のモニター中(待機中)は待機消費電力消費量ゼロ」でちゃんと動作しているのです。何故なのでしょう。

ヒントは、昔の黒電話は利用者の家庭や事務所の電源を必要としませんが、大きなベル音で呼び出してくれること、にあります。

待機中に電力供給なしで作動する節電虫(益虫)を開発するにあたり、私が試作会社に最も理解してほしかった点は、接続されたファックスなどの機器への電源をオンするために最初のエネルギーをどう調達して電源のスイッチングに生かすか、という事でした。

簡単です。

通常はベルを鳴らすのに使われる回線電流を節電虫(益虫)の電源オン回路の立ち上げに使うのです。時間にして1秒もかかりませんし、何度もベルを鳴らし続ける電力消費量よりずっと少ない電力で節電虫(益虫)の電源オン回路は立ち上がります。もちろん、電源オン回路が立ち上がった後は、電話回線利用契約者(社)の電気を使用します。この論理で、待機中には節電虫(益虫)の電力消費ゼロで、ファックスなどの接続機器の電源を入れることを実現したのです。

素人はイヤだ、何を考え、言い出すか判らないのだから、と私が節電虫(益虫)試作二号機の開発依頼した設計試作会社の社員はきっと思ったことでしょう。

その道の専門家は従来の知識の範囲、従来の解決方法の範囲からベターな方法を見いだそうとするものです。これは決して悪いことではありませんし、商品の改善には大いに役立ってきたはずです。しかし常識破り、常識からの脱却も新商品開発には必要な場合が多いのです。


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