【9】痛みと温度が同居した日 ~あたらしい世界の幕開け~
衝撃的な映画でデビューをしたものの
興業的な評価は 低かったようで、公開直後、監督が行方をくらました。
わたしにとっては 親のような存在だったから
ショックだったのと同時に それこそ映画のようだと思ったのを覚えている。
ヤクザのような世界があるのだと知ったのも このとき。
それ以降に 再会もしたけれど どこかぎこちなかった。
現場で約束をしたのです。
それは 2人だけが知る約束。
監督はもう 忘れてしまったかもしれない。
それは未だ、叶ってはいない。
次に会う時はお葬式かも知れないって どこかで感じていて
その時には思いっきり 悪態をついてみようと思う。
というのは嘘で
あの日 ホリプロの階段でわたしを見つけてくれたことの感謝を
伝えたい。 そして今も。・・・・・
新しい世界の住人たちは わたしを一歩外の世界へ連れ出してくれました。
それは時として外国のときもあったし
また 新宿二丁目のときもあった。
当時流行ったクラブのときもあれば、ライブで地方を巡ったり
秘密の時間を共有してくれもした。
童心丸だしで 本気で仕事をしている姿もいっぱい見た。
だから
未成年のわたしには 大人はいつも 輝いて見えていました。
家と学校とを往復していた時 自分の世界はココしかない
そう 思い込んでいた価値観がどんどん 崩れていきました。
それからは あれだけ愛おしかった
ブラウン管の世界から少しずつ 遠ざかって行きました。
内に向けられたモノは 外へとベクトルを変えていったのです。
そして 大人に 恋をした。
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