【10】痛みと温度が同居した日 ~大人に恋をした~
十代はたくさんの恋をするモノなのかもしれない。
ときめくことはいっぱいあったけれど
わたしの恋は小学校から高校まで ひとりの人に片思いでした。
ソノ恋こころは
17歳の夏 3度目の告白し失恋したのを最後に
静かに 明け方の月夜に封印をしました。
その月はなんども滲みそうになったけれど
わたしは 辛い時ほど 笑ってしまうようで
やっぱり その日も 笑った。
そのせいか、今はよく泣くようになりました。
そして それ以上に 心から笑えるようになった。
十代最後に恋をした大人は わたしよりも一回り上だった。
わたしの 知らないコトバを使っていて
わたしの 知らない国の話をして
わたしの知らない映画や俳優さんのお話をしてくれた。
いつも 想像をさせてくれて 可能性を信じてくれて
そして 真剣に叱ってくれるその人に 恋をしました。
はじめの内は子ども扱いばかりされて
わたしを女性としてみてくれることはなかった。
だから背伸びしてみたり
その人の横にいれるようにと 色々を知ろうと努力もした。
大人の女性ってどんなか、雑誌を広げることもあった。
でも どんなに近づこうとしてもその人は
わたしのキモチに答えてくれることはありませんでした。
封印した恋心も そして大人のソノ人に恋をしたことも
わたしの中で 大きな痛みに変わっていったのです。
自分には魅力がないのかもしれない、って真剣に悩んだ。
誰からも声がかからなかった訳ではありませんでした。
告白をされたことは何度もあったし
好意をよせてくれた人たちは何人もいました。
けれど そこにはまるで ときめかなかった。
わたしは何故か、好きな人とは結ばれなかったのです。
もしかすると、わたしがときめかなかったその想いは
そのまま 恋をしたその人たちがわたしに抱いたことなのかもしれません。
そんなある日
開き直った自分に出会いました。
もう、いいって。
片思いはイヤだった。
好きな人に 好きっていわれたかったし
手もつなぎたかったし
何よりも 喧嘩をしてみたかった。
お友だちは彼氏と喧嘩をしてよく泣いていたけど
わたしには それは豊かさに映っていました。
だって 仲直りしたときの笑顔と
また その瞬間から友だちを放置してでも彼氏に駆けていく その風は
とっても 心地よいモノだったから。
開き直った自分ははじめて 等身大の自分にくつろぎました。
知らないことは知らなくていいやって思って
好きになってもらうための背伸びもやめた。
ダメな自分でいいし、魅力的でなくてもいいって。
そしたら ・・・・・
彼は 等身大のわたしを女性として見てくれるようになりました。
気づいたら 彼の瞳に自分が映るほどの距離にいました。
一緒にいる時間が増える度に
片思いしているトキには気づけなかった
自分を守りたくなるキモチを知ることになりました。
それは
大好きは 簡単に大嫌いになってしまうということ だった。
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