月が眠る夜 最終章〜2〜
パソコンの画面を開くと通知が溜まっていた。
メール?
【由莉、ごめんね、聞いたわ。本当にごめんね。私貴方から奪うつもりはなくて。私が別れるから本当にごめんね】
血の気が引いた・・・
なに、言ってるの、あの話を全て聞いたあとで何事もなくまた彼氏と付き合えるほど、私も馬鹿じゃない。
つぎのメールを開くと
【今日は配信者の⚫⚫ちゃんとリア凸したんだね。いいな、私といつお茶してくれるのかな?】
待って。
何件来ているの、このメール・・・1200件全部菫先輩・・・?!
スマホをみると、着信が80件。
は、はちじゅう??
着信は、全部菫先輩からだった。
・・・は?
【驚いてる?】
デスクトップが光ると
文字が、打ち出されていく
【あなた、ずっと私に監視されていたのよ】
【可愛い可愛い由莉♡私が小さい時に大切にしていた人形にとても似ているわ】
【貴方の意思は関係ないの】
【貴方は私の人形よ】
ゾッとした。異常。
高校時代のときは、感じなかった生命の危機のような、恐怖を、いま彼女から感じる。
私は彼女から貰ったもの全て集めて、宝箱から人形から調べると
【盗聴器・・・】
パソコンに映し出されていく、私の日々の姿の隠し撮りの写真。
は・・・
彼氏とキスしたり・・・ちょ、ちょっと
全部なの
『菫!やめて!』
パソコンの画面から文字がカタカタと打ち出される音だけが響く。
【やめて?私がやめて欲しかったよ。私も文芸部のころから小説家になりたい。でもなれなくて、編集部に就職したそう話しているのに、由莉は覚えてないから】
【無邪気に自分が小説家になった話をしていく。私がずっと好きだった男から想われて付き合ってるのに、大して好きじゃないとか心ここにあらずで付き合ってることを、私に無神経に話す!!ねぇ?それってどうなのかなぁ?】
『やめて!ご、ごめん、本当にごめんね。私・・・』
そう、私、自分のことしか見えてなかったんだ・・・菫を自分の話を聴いてくれる優しい人とか勘違いしてた。
自分の【優越感】のために。
聴かせるためだけに、菫の気持ちを考えたことが、あった、かな?私は。
【今更遅い。全部壊してやる】
低く唸るような声で。
菫の声がした。
振り返ると、そこに、菫が・・・
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