イヤでも身につく”使える英語力“  3. 仕事と英語(1) 誰でも得られる英語の果実 3.1.3 30歳前の脱サラ退職、SDSU(サンディエゴ州立大学)へ

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 国内留学から職場復帰して2年足らずの私は “30歳までに会社生活にピリオドを打ち、独立するという入社当時の密かな人生方針を実行するには会社側の希望退職実提案は良いタイミングでした。(少々、不謹慎に聞こえるかもしれませんが)ある意味では神が与えてくれた好機と思いました。もちろん、一方では、ほとんどの同僚たちは希望退職という厳しい整理統合案を会社から突きつけられて戸惑うか、困っていたと思います。

 私は会社からの希望退職実施方針を聞いてすぐに自分の既定方針通りに退社を決心して組合や会社からの事情聴取や説明にも退社の意思を明確にしました。勤務年数の少ない私の場合、上司は会社に残るように言ってくれましたが私は自分の意志を貫きました。通常の都合退職や依願退職では退職金はゼロに等しいのですが、希望退職金(退職割増金)をもらえるのは大きな魅力でした。

 その希望退職金でアメリカに短期留学してこれまでの英語の自学自習の結果、英語力を確認して次のステップである英語を使う仕事に備えることができると考えたからです。

 そして「退職―短期留学―独立」という一連の行動に実行したのが19769月でした。

羽田空港から初めて搭乗したジャンボ機(ボーイング777)でハワイ経由、ロスアンゼルスに着いたのが197696日と記憶しています。初めての海外、初めてのアメリカ、初めての一人旅で何もかもが目新しく、新鮮でした。私が29歳と半年の時です。

現地では繊維産業の衰退に続き、日本からの小型車の輸入増加でアメリカ政府には自動車産業への危機感が当時は増大していました。しかし、燃費性能の良い日本車はガソリンをがぶ飲みするアメリカ大型車からの乗り換えを希望するアメリカ人には大変好評で、日本からのオッサン留学生である私は少し誇らしく思ったものでした。

到着したロスアンゼルスのホテルで一泊した後、翌日はバスでサンディエゴまで半日かけて南下して目的地であるSDSU(サンディエゴ州立大学)に入り、エル・コンキスタドールという学生寮に入り翌年3月までの半年の気楽な?海外学生生活を開始しました。

短期留学はいわゆる語学留学でしたが、渡米前からそれなりの英語力はつけており自信がありました。事実、他の日本からの留学生で英語の理解力が不足している人たちのために、大学当局による彼らの面接時には急造通訳として通訳を依頼されていました。

大学での科目はできる範囲でたくさん取りました。特に難しい専門科目があるわけでもなく特に頑張った記憶はありませんが成績はオールAだったと記憶しています。

日本人がクラスでは発言しない、討論に参加しない(できない)ことにアメリカ人教師が閉口している姿をよくみかけました。ですから、私自身には発言チャンスがそれだけ多くなるわけでその意味からは授業は楽しいものでした。ただ、ドル・円交換レートが当時は1ドル=300円の時代でしたから、日本から持ち出したお金を贅沢に使える状況ではなく、その意味では貧乏でつらいものでした。

貧乏?を見かねた学部長が同情してくれたのか、それなりに現地のアメリカ人と会話でき、意思疎通ができ、年齢的にも日本のことを説明できる私を学校外のパーティーに頻繁に連れて行ってくれたのは幸運でした。また、日本語留学生のために学内に必要な日本語案内を作る仕事などのアルバイトさせてくれたこともあったと覚えています。やはりこれらも、すでにある程度習得していた英語のスキルによるご褒美みたいなものでした。

 このように留学は目的がどのようであろうと一定の語学力は留学前につけておくことが留学の時間を効率よく使うことになり、留学の効果をあげるためにはとても必要なことです。さもないと、留学が単なる海外での生活経験だけに終わり、初期の目的が果たせない結果、英語力は期待したほどには向上しない結果になります。ただ、実際に見た、聞いた経験は何物にも代えがたいことは事実ですから、留学の成果には少しは寄与できるでしょう。

 このように貧乏でしたがアメリカでのクリスマス時期、年末年始をそれなりに楽しく過ごして私は翌年19773月に渡米時とは全く反対のルートでサンディエゴからバスでロスアンゼルスへ、そしてロスアンゼルスから羽田空港、東京から地元尾道に戻り、念願の自前ビジネスのスタートを切りました。30歳になった春のことです。

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