ブラックオアホワイト?

 私が昔々、あるところではなくてオーストラリアに留学していた時のことです。渡航して数か月は当然英語を聞き取るなど至難の業でした。それと同時にごくごくわずかの単語を聞き取ることは意外にできてしまうもので、今回はそうした浅はかな知識や技能がもたらすとてもとても恥ずかしい話です。

 ある日喫茶店つまりはカフェとでも呼べばいいのでしょうか?そうした場所にコーヒーを飲みに行きました。店員と話をしてというかメニューを指さしてコーヒーを頼んだところ、うじゃうじゃうじゃと向こうが何かを話した後に「ブラックオアホワイト?」と聞いてきたのです。
 話は変わりますが、オーストラリアではなのか英語圏ではなのかは定かではありませんが、ともあれ向こうではミルクと砂糖入りのコーヒーを「ホワイトコーヒー」と呼びます。無論そんなことはその時の私は知る由もありませんでした。
 そしてその時私が咄嗟に思いついいたのは「黒人ですか白人ですか」と店員が尋ねているということです。ありえるわけないのですが。文化の違いは当然あるとはいえですが、コーヒーを注文した客に「黒人ですか白人ですか」などといった質問をする店なぞ世界中どこを探しても、もし万が一あるとすれば南アフリカくらいなものでしょう。
 しかしながらその時私は自分の腕や脚をじろじろと眺めまわして、ずいぶん日に焼けているしめんどうなので黒人に見えるのかななどよくわからないことをあれこれ考えだし、ととどまるところのない勢いで話しの要点から脱線していきました。
 しだいに店員がキレ口調になってきました。あいもかわらず「ブラックオアホワイト。ハアアッ」みたいなことを口走っていました。そこで私はもうどうでもよくなって「ブラック」と答えました。ようやく店員の怒りも沈んだようで、彼女はブラックコーヒーを持ってきました。
 そうなると気になってくるのが「ホワイトコーヒー」の方です。聞きたくてもどう聞いていいのかわからないので、おそるおそる、「ホワイト、ワンモア」みたいな感じで注文したところ、次はミルクと砂糖入りのコーヒーが運ばれてきて、そこで謎が解けました。

 似たような感じであるピザ屋で「ユウライク、ホット?」などと質問され、あたりまえだろうわざわざ冷たいピザなんか頼まねえだろうなどといきがって「イエス」と答えたところ、タバスコがまんべんなくかけられたむせるようなピザを食べる羽目に陥ったこともあるという話でした。

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