ヘタレ貧乏、起業する 第2話:夢の始まり。

前編: ヘタレ貧乏、起業する 第1話:終わり。
後編: ヘタレ貧乏、起業する 第3話:負幸運。
人間は夢を見る。
「夢」って一体なんだろう?
寝てる時に見るものも夢という。
目覚めている時に見る叶えたいことも夢という。
間違いなく言えることは、この時の僕はまだ「夢の中」にいた。

ヘタレ貧乏、起業する 第2話:夢の始まり。

考えても仕方のない、自分の力でどうにもならない事柄についての妄想は終わらせた。

1999年は前年に「ネオ・フォーク」と呼ばれるジャンルを確立したゆずが大ブレイクしており、あちらこちらの駅でストリートミュージシャンがギターをかき鳴らす、いわゆる「路上ライブブーム」の真っ盛りだった。
「19」や雷波少年からブレイクした「サムシングエルス」などを覚えている人も多いはず。実はこの頃、ゆずが好きだった訳ではなかったのだが、たまたまラジオを聴いていた時に「ゆずのオールナイトニッポン」という番組が流れていて、その放送の中で「クリスマスイブにチャリティー募金をしてくれるストリートミュージシャン募集!」という言葉を聴いた。
僕は丁度未来の相方になるクニからの影響でギターを買い、毎日猛練習しながら漠然と「ミュージシャンになって、自分の曲で誰かを感動させられたら面白いなぁ」と思っている時だった。ただこの頃はまだGLAYやラルクなどのバンドが勢いのある時だったので、どちらかというとそっち方面に行きたいと思っていた。とはいってもあくまで「漠然と」だ。
もともと人前が大のニガテで人間嫌い真っ最中だったから、そんな自分が出来るわけがないと思っていたし、踏み出す勇気も気力もなかった。友人と呼べる人間も学校をサボるためにウチに遊びに来ていたクニくらいだ。つまり、そんな状況にあった僕に「バンドを組む」なんていうのは夢のまた夢、という感じだった訳だ。

でもこのラジオを聴いた時、「これなら、もしかしたら・・・」と思った。
ゆずのように二人組みでギターとタンバリンだけでも音楽はやれるのか。色々と考えてる内に気づいたら僕はクニに電話をかけていた。

結城
クニ、ゆずのラジオ聞いたか?面白そうだからやってみない?
クニ
それはものすごく恥ずかしいな。俺はちょっとやめとくわ・・・

クニとはよく一緒にカラオケに行っていて、その歌の上手さと声の良さに僕は惚れ込んでいた。一人でやる勇気はさすがに出なかったから、なんとしてでもコイツを誘うしかない!
やるかどうか自分の心も決まっていないのに、気づいたらクニを説得していた。最初は頑なに断られたが、執念とこれまでないほどのしつこさで口説き落とすことに成功。もしかしたら、僕が本気で人に「これをやろう!」なんて言ったのはこの時が始めてだったかもしれない。
それからすぐにゆずの曲をコピーし始め、イブまでの2週間、ひたすら練習をすることになる。初めてやることに、ワクワクがとまらなかったせいか、当日までにゆずの曲をすべて完全に覚えることができた。
確か50数曲だったと思う。若い頃の記憶力ってすげぇな。
そして運命の1999年12月24日。僕はこの日を境に夢追い人になった。
・・・つもりだったが、ただの勘違い野郎だったことに後で気づくことになる。
つづく。

続きのストーリーはこちら!

ヘタレ貧乏、起業する 第3話:負幸運。

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