第1話 富士登山の盟友に見送られ!(神奈川県編7/20前篇)~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと
【あらすじ】
2013年夏、数年間に及ぶ大学生の就職及び卒業研究支援を行っていたケイタロウは、自身の研究を発展させるために、就職支援セミナーを全国47都道府県で実施する。
しかしながら、予想以上に難航したこと、そして寄付が不採択であったことをきっかけに、ケイタロウはやり方を試行錯誤を経て大きく変えていく。
それは、全国47都道府県で人物に焦点を当て、偶然の出会いから、写真を撮り、会話をしていくことで、時に路上で聴き、授業や演習を行うといった破天荒なやり方であった。
しかしながら、交差した人の応援の積み重ねが、ケイタロウの旅をゴールまで支えていった。
この物語は、全国47都道府県の夏と地域性を肌で感じながら、時に再会し、教えること以上に教えられ、助けられた恩を感謝の言葉と共に綴っていく。
【第1話】富士登山の盟友に見送られ!
川崎市多摩区⇒東京都渋谷区
区間移動距離 11.7km
概算総移動距離11.7km
2013年7月20日 AM
≪神奈川県某所≫
ついにこの日を迎えてしまった。朝まで一睡もできなかったことを覚えている。希望と不安は、時間と共に増幅する。
俺は、ケイタロウ。自称学者である。30歳半ば、会社員の傍らに行き出した社会人大学院生活は5年目を迎えた。でも、研究者として大した成果を残していない。
「面倒見はいいんだけどね……」
「いつか大成するよ」
会社経営も4年目になり、大学の研究員や役所の委員になっており、そんな声に、安穏としていたのも事実。
だからこそ、俺にとって大きなターニングポイントとして考えていた。
『結果が出せないなら学者を辞めよう』と
その言葉を胸に何度も刻みながら、俺は小田急線に乗った。
今から出る旅。それは、就職活動を支援するセミナーを全国47都道府県で実施する旅。
北海道と千葉での実績はあっても、全く無名の学者が身体一つ・鞄一つで挑んだ旅。
何が起きるかわからない。
何が起きるかわからない。
2013年7月20日 PM
≪神奈川県川崎市多摩区登戸駅≫
神奈川県川崎市、JR南武線と小田急小田原線がクロスする街。神奈川県川崎市多摩区登戸。
俺が、一番最初のスタート地点に選んだのも、地域情報インターネット番組よっしゃこい登戸でお世話になっている方々に、見送られたかったからである。
そして、旅が終わった翌日が放送日。
この旅がどういう結果であれ、帰ってこなければ場所を用意した。
俺が小田急登戸駅に降り立った、よっしゃこい登戸のMCを務めるタカヤマさんが、満面の笑みで迎えてくれた。タカヤマさん達とは、2日前に世界遺産である富士山に登ったばかり。丁度昼時であった為、食事に誘われた。
≪登戸こし乃でもらったモノ≫
タカヤマさんは、食事中に不意にこう言った。
「コレ持って行ってください」
この旅のネーミングが入ったマイク。
続け様に、
「ノボリも作っているんだけどね……間に合わなかったから、あとで届くように送っとくネ」
さりげなく出た言葉に、俺の弱気な気持ちが、消え失せた。
そうこうしている内に、この街で仕事をされているアキちゃんも合流し、喫茶店へ。
アキちゃんが、
「王子(俺のあだ名)凄いよ。何かわからんけど凄いよ。凄いコトやれるよ!」
何よりうれしかった。根拠がないと言えないビジネスの世界を生きているアキちゃんからでた言葉。
タカヤマさんとアキちゃんから見送ってもらう
さり気なさの挽歌
今は社会人で、学生時代から助手的な立場でいるミヤタくん、今回の旅では、初日2日目と同行するのだが、電車に乗った時にこう言った。
「凄い漢(オトコ)たちの、お話が聴けた機会にありがとうしか言えません」
思えば、ありがとうの旅は、登戸から始まったのだと思う。
そして、彼らは事あることに、応援してくれた。
この街からスタート。それは、終生変わる事はない。
登戸を出た小田急線は、代々木上原を経て、表参道の駅に入っていく。
いよいよ≪青山学院大学青山キャンパス≫ 最初の会場だ。
いよいよ≪青山学院大学青山キャンパス≫ 最初の会場だ。
ミヤタくんがボソッと言う。
「いよいよ、始まりですね」
長く暑い旅の幕開けだった。
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