出張整体師はみた! 【ホテル編】 ホテルオーナー

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ある昼下がりに、ビジネスホテルのフロントからご依頼の
お電話がございました。
「こんな時間に?」

と少々不思議に思いましたが、詳しくお話を伺うと、
そのホテルのオーナー様に施術して欲しいとのことでした。

こちらの勝手な想像ではございますが、小生の対応次第では、
提携先としての契約に繋がる可能性も考えられなくもないので、
少しばかり緊張してしまいます。

お呼びいただいたホテルのフロントに到着すると、
役職者の方に上層階の客室へとご案内いただきました。
お部屋にいらっしゃったのは、見た感じで八十歳位の
お年寄りとしては大柄で骨太な男性でした。
後にお聞きしたところ創業オーナーらしく、動きこそ
ゆっくりとしていらっしゃいましたが、眼光鋭い只者ではない
雰囲気を漂わせていらっしゃいます。
相変わらずの緊張感の中、簡単な質問から施術開始でございます。
オーナー様は大柄、骨太ではございますが、ご高齢で
いらっしゃいますので、各部の状態観察や力加減を慎重に
始めました。
始めた感触としても年齢相応に骨密度、コンディションに不安が
感じられたため、しばらく弱めで様子を見ながら行わせていただいて
おりました。しかし、ご本人は

「もっと強めにして!」

とおっしゃいます。正直申しましてとても不安でしたが、
ギリギリの範囲で手技の強度を上げました。
それでもご不満そうでしたが、これ以上強めるのは難しいと判断し、
中盤まで続けておりました。

それから数十分経った辺りでございましょうか。
静かな室内に

「ぎゅるぎゅるぎゅる・・・」
断続的に大きな音が鳴り響き渡ります。
オーナー様のお腹が鳴る音でございます。
「大丈夫ですか?」
心配になって問いかけましたが、

「平気だから続けて。」

とおっしゃいます。そこからも、しばらくは施術をお受けに
なっておりましたが、10分位経過した辺りで、中断を
お申し出になられて、トイレに向かわれました。
それから5分程後、用をお済ませになられて、トイレから
お戻りになられました。

いつもの事なのか、大丈夫でなかったのか・・・

大物らしく平然とした表情でお戻りに成られました。
こころなしか少々お顔の色が芳しくないようにも
見えなくもございませんが・・・
そこから終盤の施術を何とか無事に(?)終えました。
荷物をまとめて帰る準備をしておりましたが、オーナー様、
落ち着きのない様子でございます。
「もう帰っていいよ。」

何かを待ちきれない様子です。荷まとめのペースを上げ早々に
お部屋の外に退出しました。

その直後に扉の中から

「バタバタ・・バタン!!!」
「ギュルルルルー」
という音が聞こえてまいりました。
やはり大丈夫ではなかったようです・・・

「今回きりになってしまうだろうな・・・」
がっくりと肩を落として店舗に戻りました。

ところが、その日から数年間、業務提携こそなりませんでしたが、
一週間に数回、小生ご指名で御贔屓にしていただきました。
未熟者の小生の実感など当てにならないものでございます。

創業オーナー様の精神力と器の大きさ
を勉強させていただきました。
※ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
読んでよかったと思っていただけましたら、このページと共に、初回の
にも「読んでよかった」を押していただけれると嬉しいです。
大変恐縮ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。
また、出版等のお問い合わせは
足利忠宛にお願いいたします。

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