~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと 第八話

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第八話 学者の仕事は行商人?


神奈川県相模原市⇒東京都⇒山梨県甲府市⇒神奈川県

区間移動距離  420km+α

概算総移動距離 1559.6km+α

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≪東京都品川区 品川駅≫

7月25日 PM0:00

 品川駅で、学生時代から通算して7年目になる、教え子のワカナさんと待ち合わせ。

 一番弟子。俺が今学者をやれているのも、一番弟子であるワカナさんとの出会いと経験

が大きく寄与している。

 さて今日は、ワカナさんから頼まれたものを、渡す作業だ。

 退職する上司が、喜ぶものをという頼まれ仕事を、ツアー中で制作した。

 喜んでもらえる様に、ディティールに拘った。

 渡すだけで、再び旅に出ようかと思ったが、お昼の食事に誘われた。

 

 中身を見せてワカナさんがこう言った。

 「ヒダカさんに頼んで良かったです。どうなる事かと思ってました」

 ワカナさんが、時間を気にしだすのを見て、立派に働いているなと再認識。

 『仕事がんばれよ。会社やっているのは、お前の場所でもあるんだからな』と

 俺は言った。

 「ここ。出させていただきますね」とワカナさんは、言い

 その上で、

 

 「全国ツアー頑張ってくださいね。お金はいくらあっても足りないんですから」と言わ

れ、現金で寄付してもらった。

 その気持ちが嬉しかった。

≪東京都稲城市 とある病院≫

7月25日 PM2:00

 品川駅から車を出し、とある病院へ。

 俺が経営している会社は、俺を含めて社員2人。

 大学院時代の後輩が、出産退職を機に、俺の会社に入社した。

 そして再び妊娠し、ギリギリまで頑張る予定だったが、出産を順調にする為に、入院と

なった。

 入院してから、旅に出発するまで、俺は週1ペースで見舞いに行ってた。

 順調にいけば、出産まであと1か月。

 出産予定日を、旅の最終日にしていた。

 無事に出産することを祈って。

 『お疲れさま。大丈夫か?』

 俺が言う。

 病床のかちこさんが答える。

 「大丈夫じゃない」

 Lineでやりとりしているときには、表情がわからない。

 やはり対面で表情を見るとよくわかる。

 病院は、自由がない。

 「点滴キライ」

 点滴をした後の腕が物語っている。

 『ホイ。差し入れ』

 俺は、見舞いの花と、退屈な病院生活を、少しでも楽しく過ごせるようにテレビカード

を持ってきた。

 お花を渡したら、パッと笑顔になった。

 20分もない位の時間だったが、会話をし、そしてこう伝えた。

 『次は、8月2日な。じゃあ山梨に行ってくるよ』

 病院の駐車場から、中央自動車道に向かい、山梨県甲府市に向かった。

≪山梨県甲府市 甲府ホテル≫


 7月25日 PM4:45

 山梨県は甲府市。近くには、国立の山梨大学があり、関東圏からはおよそ1時間半程度

で到着する。

 会場の甲府ホテルは、JR甲府駅からすぐそばの所に位置している。

 会場に到着し、会場代金を支払う。

 申し込み数は、ゼロ。

 会場に入って、2時間

 最後まで、参加者は来なかった。

 そこで、路上に出てお話を聴いてみた。

≪山梨県甲府市 甲府駅付近≫

7月25日 PM7:30

 かちこさんと話をしていた感じたこと。

 もしかしたら、話したい。

 もしかしたら、話す場所が欲しい。

 でも、なんのしがらみもなく話したい。

 そう考えた時

 旅人として話を聴くことは、きっと周囲の友達が話を聴くことより、言えないことが言

いやすいのではないかと考えた。

 それが、少しづつ見えてきた。

 「学者には学者にしかない視点と視野があるはず。

 学者だから語れるキャリア論みたいなのはきっとある。」

 先に博士の学位を取ったアサイさんが、甲府に着いた時に頂いたコトバ。

 そのコトバを、自分なりに噛み砕いてみた。

 『旅人には旅人にしかない視点と視野がある』

 旅から旅を通して、それぞれの地域で見つけたことを、それぞれの地域で出会った人に

届けて行こう。

 明日からは、いよいよ新幹線に乗って、九州方面まで行く。

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