出張整体師はみた!【困惑編】別荘

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 都心部というのは、人口密度が高く、他の地区よりも、
営んでいらっしゃる業種、特性が異なるエリアが隣接
していたり、混在している事が少なくございません。
ある真夏の熱帯夜に、とある有名繁華街にある商業
エリア近くのシックな作りの高級マンションから
お呼びいただいた時のお話です。
このマンションは、別のお部屋の会社経営者の方にも
よく呼んでいただいておりまして、初回のお伺いにも
かかわらず、スムーズにたどり着く事ができました。
玄関を開けて出てきて下さったのは四十代半ばから
五十代位の男性。
短髪で筋骨隆々とされた、非常に目力の強い方でございました。
真夏の熱帯夜に似つかわしくない厚手の長袖のシャツを
着ていらっしゃるのが印象的です。

ご指定のリビングに敷いたお布団の上での施術を開始いたしました。

ご依頼される方は、大きく分けて

● 世間的に多くない当方の業務にご興味を持たれて色々と
お聞きになられる方

● 身近な方にお話しにくいご自身や周辺の事をお話される方
● お疲れが著しいか、面倒で会話を好まれない方
(上記の途中で眠気からお休みになる場合もございます。)
の3つのどれかでございます。不調箇所を伺う事、
システム上必要な最低限の伝達事項以外に関しては、
お客様のご希望に合わせます。
(その日だけ違うという場合や、徐々に変化していく場合も
ございます。)

今回の方は、見た目の印象は非常にいかつい感じですが、
上機嫌でよくお話になる方で、序盤は当方の業務に
ご興味をもたれて、色々とお聞きいただきました。
そこから、徐々にご自身の事をお話になられはじめました。
お仕事の都合で、長い事出向されていて、つい三日程前に
お戻りになられたとの事です。

「久しぶりの東京は、ネオンで目がちかちかするし、
酒もコーヒーもたばこも久しぶりで寝付けなくて
疲れちまったよ・・・」

とおっしゃいました。
お酒もコーヒーも久しぶりという事は、相当な場所への
ご出向だったんだなと、

「時差ぼけもございますか?」

とお聞きしました。それに対して

「時差ぼけはないよ。日本だから。」

意外なお返事に平静を装ったつもりでございましたが
「?」
といった反応をしたのでしょう。
「3日前に出所したんだよ。務所から。もちろん日本の。」
務所
つまり刑務所でございます。
「別荘」といった隠語で表すこともあるようです。

たしかにお酒もコーヒーもたばこもなければ、時差もありません。
内心の動揺をおさえて、

「そういうことだったんですか。」
とお答えしました。

その後も、ユーモア混じりに刑務所事情のご教授いただきながら
施術させていただきました。
威嚇、因縁をつけるといった事は一切ございません。
むしろ普通のお客様以上に気を使って頂いているようです。
見た目こそ相当にいかつい方でしたが、フランクな感じのお話し
口調の方で、真夏の熱帯夜にもかかわらず、厚手の長袖のシャツ
を着ていらしたのは、その下の立派な日本画が見えないように
ご配慮いただいたのでしょう。
特に問題もなく終了し、釣銭はチップとしていただきました。


日本国内の出張にも、禁欲が必要な場所もあるのだ
と勉強させていただきました。
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出張整体師はみた!【困惑編】事務所

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