出張整体師はみた!【困惑編】事務所

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今回の依頼先の建物は、有名な繁華街の商業エリアの付近、
築年数は古めの、物件探しをしたら場所の割には格安で探せそうな
お得物件風でございました。

深夜でしたので、間違え訪問防止のために集合ポスト、
玄関表札を確認しましたが、何も書いてございません。
深夜の間違い訪問は大変な迷惑でございますので、
念の為に携帯電話にて受付より聞いた訪問先の
電話番号に確認のお電話を入れてみました。
穏やかな口調の中年男性が出て下さって、建物、
部屋番号を確認させていただきました所、
間違いないようでした。
理由がはっきりと分からない僅かな不安を感じながらも、
玄関のインターホンを押しました。
出てくださった方は、満面の笑顔のオカッパ頭の
中年男性でした。
そのオカッパ頭の男性に施術を行うリビング脇の
小部屋に案内されました。

お部屋の照明をつけたままだと眩しいとのことで
廊下から入る薄明かりと暗めの間接照明の中で
施術を開始させていただきました。
その男性は開始直後は、こちらに多少の世間話を話し
掛けていらっしゃいましたが、お疲れからか10分も
経たないうちにお話が止まっておりました。
静まり返った状態の中で施術を続けて数十分経った
あたりでございましょうか、玄関の鍵を開けて
どなたかが入ってきました。

ダブルのスーツ姿の大柄な男性です。
その眼光の鋭い男性は、リビングに何かを置いてから
こちらに向かってきて、緊張感のある姿勢口調で
何かの業務報告のような事を、オカッパ頭の男性に
しております。

オカッパ頭の男性は、一切姿勢を変える事なく、
お聞きになった報告に対して小生に対してなさった
口調より数オクタープ低い声で、何らかの指示をされました。

その指示を受けた男性は、よく響く返事をしてすぐに
次の用件に出掛けていきました。
案内された時にはリビングの照明はついておりません
でしたが、この時に部下であろうこの男性が入室して
きたときに照明のスイッチを入れてそのまま出て
行かれました。

先程まで暗くて分かりませんでしたが、非常にきれいに
掃除されたリビングは高価そうなインテリアや重そうな
ガラスの灰皿、そして、壁の上部には立派な神棚を中心に
たくさんの提灯がかかっています。
提灯に書かれている文字には、
「〇×組」だったり「□〇興業」「×〇一家」と・・・・
どうやらここは、とある勢力の事務所だったようです。

施術の順番は次は手に向うところだったのですが、
ゲンコツの握りこぶしの指の根元は、赤紫に変色して
若干腫れていらっしゃいます。たまたまぶつけた
のにしては、明らかに少なくない複数回繰り返
している様子です。

最近の稼業人は、ぱっと見で判別しにくいと、
どこかで聞いた事がございましたが、本当だったようです。
知らずに酔っ払いが絡んだりしたら大変な事になるのでしょう

内心困ったなあと思いましたが、ここまで全く困ったことを
おっしゃるでもなく、それどころか非常に穏やかに接して
いただいております。

脂汗が吹き出しつつも、あくまで通常通りに施術を最後まで
終了しました。手の部分は避けましたが・・・

終わった後も相変わらずの穏やかな口調で喜んでいただき、
無事戻ることが出来ました。

今後どうしたらいいか判断に迷ったので、店舗に戻って
店長に報告すると、少し考えた後
「でも何ともなかったんだよな?
だったら取り敢えずいいんじゃない?」

と人事のように申しております。そこで
「小生は怖いので、次に呼ばれたらは店長が行ってください。」
と申し上げると、ひきつり笑いを浮かべながら
「なーに言っちゃってるの足利ちゃーん。
いつも頼りにしてるんだよー!」
などと、言って用もないくせにどこかに出ていってしまいました。
普段はあいさつの返事もこちらを見もせずにいい加減にするのに・・・
やり取りを聞いていた同僚も苦笑いを浮かべて呆れています。
この人も自分は行かないよとおっしゃいましたが(苦笑)
幸か不幸かそれ以降この方からのご依頼は入っていないようです。
結局はみんな自分が一番かわいいんだ・・・
とまた勉強させていただきました。

※ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
読んでよかったと思っていただけましたら、このページと共に、初回の
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大変恐縮ではございますが、どうぞ宜しくお願い致します。
また、出版等のお問い合わせは
足利忠宛にお願いいたします。

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出張整体師はみた! 二重オートロックの悲劇

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