出張整体師はみた! 「あなたはこらないの?」

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お客様、知人、問わずに非常によく聞かれる事に、
「あなたはこったりしないの?」
「自分が疲れたときにはどうしているの?」
といったご質問がございます。

施術には、押さえるポイントや角度と体の使い方が重要で、
皆様がお思いになるほど力は使わずに行わせていただいて
おります。
力ずくの手法の場合、ポイントや角度などがずれていたりする
ケースが多かったりするのです。
その場合は、むしろお受けになった方が翌日おつらい・・・
といった事になりやすいようです。
とはいえ、労働をしているのでありますから、
数をこなせば疲労はございます。

機械物

マッサージチェア、ベッド等のことであります。
正確には、過去に使っていた事がある手段です。
使わなくなった理由としては、微調整がしにくいといった
ありきたりの理由もございますが、ある失敗がきっかけと
なって、その後、ほとんど使わなくなりました。

それは、下積み時代に、ある治療院に勤めていた頃の話です。
その治療院の営業時間は、午前中よりお昼過ぎまでで
休憩に入り、午後三時から七時までといった形をとっており、
間の休憩時間に食事をすませて、小生を含む多くのスタッフが、
施術台で昼寝を取っておりました。
その日は、下積みの勤めである雑用と、数日前よりの店舗自体の
忙しさで、少々疲れがたまっておりました。

そこで、混雑時に順番待ちの方に使っていただくベッド型の
マッサージ機に乗って作動させながら昼寝に入りました。
通常は15分~20分ほどでタイマーがスイッチを切るのですが、
休憩時間中で順番待ちの人もいないのをいいことに、その
タイマーをオフにして、1時間強の長時間たっぷりと・・・
寝起きは、こり こそいくらか緩んだ気がしましたが、いつも
以上に目覚めが悪いもので、ぼーっとした非常に気だるい感じ
がしました。冷水で顔を洗って目を覚まして、なんとか後半の
業務を終えて、その日はいつもより早い時間に、落ちるように
眠りに入りました。

問題が起こったのは翌日の朝の事でした。いつもの時間に
目覚まし時計に起こされて、起き上がろうしたのですが・・・
疲れの蓄積で身体のあちこちが硬くこっていた前日とは逆に、
力がうまく入らず、元々芳しくなかった腰周りの筋肉の
サポートも嘘のように頼りなく、ちょっとした姿勢の角度の
ずれで激痛が走ります。
当時は、勤めている治療院チェーンの独身寮に住んでおりました。
その日は、残暑の厳しい熱帯夜が続いていた為、窓とドアを
少し開けておりました。隣室の仲良くさせていただいていた
鍼灸師の先輩が、うめきながらやっとの事で立ち上がろうと
する小生に通りがかりに気付いて下さり、事情を尋ねられました。
寝起きでしたので状況が把握できず、ただ起きたらこうなっていたと
しかお答えできませんでした。
「最近何か変わったことをしなかったか?」
と聞かれ、やっと前日にマッサージベッドのタイマーを切って
寝ていた事を思い出し、お伝えしました。神妙な顔でお聞きに
なっていた先輩は、事情を聞くと苦笑いを浮かべて
「それ、時々やって失敗する奴がいるんだよね。欲張りすぎたんだよ。」
と呆れながらも、小生にうつぶせになるようご指示され、
旧式のロボットのようにぎくしゃくとご指示にしたがった小生に、
鍼治療を行って下さいました。
その先輩はその治療院の当時二十数店の中にいる鍼灸師の中でも
屈指の凄腕でしたので、痛みはかなり落ち着きました。
しかし、
「すぐに仕事に行って動くのは危険だから、前半の業務は
休ませてもらった方がいい」
とおっしゃいました。
更に、自分の勤務する店舗のチーフの電話に、報告とお詫びをいれる
ときに、電話を変わってくださって、説明もして下さいました。

そのおかげで、午後三時という一番の下っ端のペーペーの出勤時間
とは思えない時間にしていただき、お昼過ぎまで休めました。
先輩は、その日たまたま代休でゆっくりしていらしたのに、
申し訳なくも大変ありがたい事でした。

午後に、ばつが悪い状態で出勤した小生が、チーフにお詫びを
言いに行きますと、最後までお聞きになる前にニヤニヤしながら、
「見舞いにはこれでしょ!」
と小生に書店の紙袋に入った物を手渡しました。紙袋を開けると
中身は縄で縛られた女性が表紙の本が入っております。
苦笑いをしている小生に向かって更に

「使いすぎて明日も休むなよ」
と言いながらケラケラと笑いながら、小生の肩をぽんと叩いて、
別業務の為に別室に行ってしまいました。からかい半分、出勤時に
小生が申し訳なさそうに恐縮するであろう事を見越しての気遣いを
して下さったであろう事が半分と言ったところです。
チーフの背中に向かって、治りかけの小生にできる限りのもう一礼を
させていただきました。

各メーカーが装備しているオフタイマーにはそれなりの理由がある
という事を身をもって嫌と言うほど勉強させていただきました。

同業者への依頼


機械で対処する事がほとんどないので、当然ながら同業、類似業者に
お願いする事になります。疲労の具合により大きく二通りの
パターンがございます。

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