第三十五話地元に残る大きな夢を持つ少女(滋賀県京都府編 8/14編)~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと

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第三十五話地元に残る大きな夢を持つ少女

愛知県名古屋市⇒滋賀県彦根市⇒京都府京都市⇒大阪府大阪市編
前回までの補正移動距離 8163.1km
区間移動距離 190.4km
概算総移動距離 8353.5km

≪愛知県名古屋市⇒滋賀県彦根市≫

8月14日 AM10:00
 滋賀県彦根市の、大学関係の施設をお借りしてもらい、実施する就活セミナー。
 こういう会場は、初めてだ。
 ゼロであってもしかたがない。
 しかし、全力でやれる限りやろう。
 俺は、そう思い、名古屋からの列車に飛び乗った。
 名古屋から米原までは、事前に作成しておいた滋賀県の企業さんリストを見ながら、あ
る程度の質問に応えられる様な、準備をしていた。
 準備をしながら、復習も兼ねて、メモを取っていたら、あっという間に米原駅に到着し
ていた。
 米原駅からは、一駅で彦根駅。いよいよ本番で、気持ちが高鳴る。

≪滋賀県彦根市 平和堂アルプラザ6F 大学サテライトプラザ彦根会議室≫

8月14日 PM0:30
 ご飯を食べて、余裕を持って到着。
 会場の周囲を見渡すと、学生さんはいるものの、予備校や進学塾かという感じの雰囲気
 事務所から、会議室の鍵を借りて、会議室を開ける。
 高い場所から見える彦根駅


 そして、誰も入ってこない2時間が過ぎて行った。
 結果として、今回もゼロ人だった。



 場所を準備していただいた野口さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 この恩は、いずれなんらかの形で返さねばならないと思ってる。

≪滋賀県彦根市 平和堂アルプラザ1F マクドナルド≫

8月14日 PM3:00
 これも、また偶然だったんだ。
 偶然に、誰も来なかった。
 だから、一人でマクドナルドで、コーヒーを飲んでいた。
 目が合ったから話したというよりかは、少し気になった。
 その少女は、足に多くの擦り傷の跡があった。
 斜に構え、大人びた視線。でもどこか優しい表情。
 俺は、話しかけてみた。
 『ねぇちゃんは、なにやっとる人なん?俺は全国一周回ってる人やけど』
 そんな話からスタートしていった。
 お話を聴くと、女子サッカーを続けていて、同期は、県外の高校にサッカー留学をして
いると言う。続けて彼女はこう言った。
 「小さい子でも、大きくなっても楽しくサッカーを続けられる様に、私はここに残るの
。そして留学した子達を応援するの。私は、ここでサッカーをやるの」
 足の傷の理由は、サッカーによるものだった。
 続けて彼女は言う。
 「私は、サッカーが好きで好きで仕方がない。でも上に上がる(プロになる)だけが、
サッカーじゃないし。ストイックになりすぎて、辞めちゃわない様に聴くことも大切だと
思うから」
 そう語る彼女の目は、一人前の指導者の目だった。
 『写真撮ってもいいかな』
 高校生は、ほとんど撮らなかった。

 しかし、彼女の目と語った表情を、カメラに収めたかった。


 『また、いつか。今度は、サッカーしている姿を撮らせてよ』


 「またね。」
 いつの日か、彼女が少女たちにサッカーを教えている姿を見たいと思いながら、彦根の街を後にした。

≪滋賀県彦根市⇒京都府京都市に向かう車中≫

8月14日 PM4:30
 快速に乗って、京都に向かう。
 快速と言っても、京都までは各駅停車。
 途中の駅から、隣の席に女の子が座ってきた。
 薬学部に通う5回生(年生)だと言う。

 興味があって色々と聴いてみた。
 『研究室ってどんな感じなの』
 「3回生から6回生、そして大学院生がいて結構大人数なんです」
 『どんな薬剤師になりたいの』
 「役に立てる薬剤師になりたいです」
 元気いっぱいに応える表情が素敵だった。
 京都のビアガーデンに行く途中とのこと。
 『役に立ってる薬剤師さんに再び会えますように』と会釈して別れた。
 列車は、間もなく京都駅に着いた。

≪京都府京都市 京都駅≫

8月14日 PM6:00
 非常に人が多い。
 着いた瞬間に思った。
 そして、観光客も多い。
 せっかくだから観光客を撮影していこう、俺はそう思った。
 『すいません。全国1周しているんですけども、お写真撮ってもいいですか?』
 「新幹線の時間がギリギリなんです」
 『5秒で撮ります。ハイチーズ』
 
 聴いてみたら、千葉の方だった。
 これも、面白い偶然だろう。
 京都でも、これと言った観光もせずに、わずかな時間の滞在で、大阪へ向かう。
 いよいよ明日は、俺が教えてきた大学4年生Sayaの最終講義。
 たっぷり、朝から5時間。
 みっちり最後の振り返りをやるつもり。
 これで、最終講義にするために。
 大阪に着いたら、改めて、最終講義の準備作業を始めた。
 気が付いたら、明け方になっていた。
 それだけ、教える側も必死なのだ。
 彼女の人生が掛かっているからこそ。

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