第四十七話 全力でひた走れ~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと
第四十七話 全力でひた走れ
大阪府大阪市⇒奈良県奈良市⇒和歌山県和歌山市⇒愛知県名古屋市編
前回までの補正移動距離 13329.5km
区間移動距離 734.2km
概算総移動距離 14063.7km
区間移動距離 734.2km
概算総移動距離 14063.7km
≪大阪府大阪市 近鉄難波駅≫
8月26日 AM11:00
出産し、退院した部下のカチコさんと電話で会話をする。
「来年は、子供連れて付いていくのでよろしく!」
俺の同行を逐一監視してるのか……
『お前の復帰時期だけどさあ年末くらいかな』
「いやいやもっと早くあたし戻らないといかんでしょ。それと、しゃちょー保育所の調
査書書いて」
いよいよ、旅も終わりかなと感じる。
旅以前の日常、そして出産前の日常、そんなことを思い浮かべながら。
奈良方面に行く列車を待つ、リクルートスーツの女の子がいた。
思わず声を掛けてみた。
『どうも、シューカツ中ですか?』
「転職活動なんです。まだ会社には在籍してますけども」
『えっ、おいくつですか?』
「23歳で、今年入社したばかりなんです」
早期離職予備軍の社会人さんだった。
『もしよかったら、色々聴かせてくれない?』
「いいですよ。」
関西の有名大学から、人気が高いと呼ばれる小売業へ入社した。
今は、4カ月目で、既に2割弱が退社したと言う。
入社前と入社後のギャップが大きく、そこに日々悩む。
退職せず、公休の再就職活動中も、面接を受ける企業からは、良い返答が出ないと言う。
そして、俺にとってやはりという言葉があった。
「3月に内々定をいただいて、その後遊んでました。でもまだ就職活動するべきだった
と思います。選ぶこと、探すこと、振り返り判断すること、遊ぶ事よりもっと大切で、大
事なことがあった」
『今回受けた企業さんでうまく行くといいね』
「はい。でも話して少し楽になりました」
『また、会えたらあいましょう』
「そうですね。落ちついた環境になったら、色々お話聴いてもらいたいです」
彼女の成功を祈りながら、会釈して別れた。
会釈をする為に、駅に降りたら、再び女の子と目があったので、お話してみた。
『どうもこんにちわ』
「こんにちわ」
『電車遅いですね』
この日、近鉄奈良線は、様々な要因で大幅に遅れており、奈良まで、乗換えなどはさみ
ながら進んでいった。
「ほんとに、時間かけて進みますね」
彼女は、京都まで向かい関東方面に帰るという。
『いや、そういう日なんでしょうな』
全国一周の話やお互いの仕事の話をしながら、ゆっくりと奈良に向かって進んでいく。
そして、奈良と京都の分岐点である大和西大寺駅に着いた。
『あっ良かったら写真を撮らせてもらいませんか?』
「綺麗に撮ってくださいね」
『はいチーズ』
『またどこかで』
「会えるといいですね」
頭を深々と下げ、彼女と別れた。
≪奈良から天王寺までの車中≫
8月26日 PM1:40
さて、急がねばいけない。
名古屋に、19時頃到着予定で、コンビを組んだ看護師ユミさんとの待ち合わせがある。
大和路快速に乗って、大阪まで向かっていると、対面になった女の子がいた。
『こんにちわ』
「こんにちわ」
『観光ですか?』
「そうなんです。北海道から遊びに来ました」
なんと、奈良で聞いたことある大学名を聞いて更に驚いた。
『俺は、北海道で就活支援の勉強会をやっているのよ。今も全国一周中で』
そんな自己紹介から、始まった。
奈良で、≪北海道の大学名≫を聴く。
凄くうれしくなり、またテンションもあがった。
俺も、すっかり≪道民気分≫なのかもしれない。
もう、北海道はアウェーじゃなく、ホームなのだから。
『もし良かったら写真撮っていい?』
「全然いいですよ」
『はいチーズ』
そんなやり取りをしながら、列車は天王寺に着いた。
『また、札幌で会えたら』
「私のバイト先に来てくださいね」
是非とも、行ってやる。
北海道でドリカフェをやる前日(10月4日)に、行ってやると思った。
そして、天王寺から紀州路快速和歌山行きに乗って、和歌山に向かった。
≪和歌山県和歌山市 JR和歌山駅≫
8月26日 PM4:10
再び、和歌山駅を訪れたが、やはり人が居ない。
駅構内を眺め、商店街のある方向へ行こうかどうか考えたが、難しいだろうと判断した。
本当に、困った。
今回ばかりは、延長戦はない。
名古屋で待ち合わせをしているので、残り制限時間も40分以内。
そこに、ポツンと立って待ち合わせをしているであろう女の子を発見した。
『こんにちわ』
「あっこんにちわ」
『美人さんは、どこから来られたんですか?』
「関東の大学から帰省中なんです」
『俺も、関東は神奈川でして……』
そこで、全国一周のこと・美女の写真を撮っていることを伝えた。
『是非ともここは、和歌山県代表で』
「あーはい。いいですよ」
『よっしゃーありがとうございます』
『はいチーズ』
『でわでわ、すいません。失礼します。またどこかでお会いしましょう』
「はい。どこかで会えるといいですね」
丁重に会釈し、B快速天王寺行に飛び乗った。
この列車に乗れたおかげで、名古屋にはPM7:30に着けた。
≪愛知県名古屋市 コメダ珈琲名古屋駅地下店≫
8月26日 PM7:30
「おつかれ。お帰り」
『おっす。ただいま』
そんな会話が、会うや否や始まった。
旅が、始まる前は全く知らない人が、今や色んな事を話す。
「ねぇねぇどうだったの……」
エピソードひとつひとつ
ピンチの模様を聴いては、笑う。
「一期一会、出会いは本当に大事やね」
そんな、リラックスした話。
そして、本題に入っていく。
彼女が、俺とコンビを組んだ理由は、医療後進国A国で実現したいことがある。
しかしながら、任期を考えると、事前の準備が必要である。
そこで、俺は以下の枠組みを提示した。
- 医療後進国A国における看護教育設計、教材の整理
- 医療後進国A国における看護実践の整理
- やりたいこと、伝えたい文化が、伝えるべき妥当性であるのか?
- 地域インフラ及び医療インフラの調査
- 現状→あるべき像の可視化
この辺を詰めて話していたら、もう高速バスの時間が来た。
時間というのは、早いものである。
「またね。よろしくヒダカさん」
『おう。またな』
この旅で、一つキャリアの支援が出来たとするならば、彼女の準備が出来たのではと思
う。
自らのキャリア(人生における目標設定)における、学習支援や活動支援を受けれる状
況を創り出すのは、偶然だけでは成立しない。
偶然に導かれた事象を、如何に捉え、積極的に吸収、活用するかであり、そういう意味
で、彼女にとって、必要なリソースになりえたのだと思う。
これは、最終話で改めて述べるとしよう。
さて高速バスでいよいよ関東に戻る。
この旅もいよいよ最終ラウンドに突入してきた。
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