第四十八話 やり残したことがあるから再び旅立つ 東京都茨城県宮城県編(8月27日)~偶然は神様がくれたボール 運命は女神とのキャッチボール~全国47都道府県ツアーから得たこと

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第四十八話 やり残したことがあるから再び旅立つ

神奈川県⇒東京都新宿区⇒茨城県水戸市⇒宮城県仙台市
前回までの補正移動距離 13329.5km
区間移動距離 2000km+α
概算総移動距離 16063.7km+α(終了)

≪神奈川県 某所≫

8月27日AM9:30
 高速バスは、早朝新宿に着き、そして俺は自宅に戻った。
 今まで持ってきた大きなキャスター付きのカバンを置き、カメラとのぼりそして、小さ
なカバンを持って、行きつけの喫茶店へ向かった。
 店員さんが、俺を見て声を掛ける。

「久しぶりじゃないですか?どこいってたんですか」
『ちょっと日本をぐるっと一周ほどね』
「またまた。面白い冗談ばっかり。アイスコーヒーですよね」
『愛情たっぷりのブラックで』

 これが、日常ってやつか。
 29日ぶりに、関東に戻ってきた。
 でも、再び走り出そう。
 おっと、その前に指導に行かなきゃ。
 レンタカー屋で借りた車を運転して、俺は新宿方面に向かった。

≪東京都新宿区 新宿の喫茶店≫

8月27日 PM0:00
 事故による渋滞もあり、およそ30分ほど遅れて、新宿に着いた。
 茨城で、≪自宅ドリー≫をやったバシコさんの就活指導だ。
「ひだかさーん・・・どーなんですか?」
「ひだかさーーん・・・・これは、どうなんですか?」

『あーこれこれ。そう日常だ。日常。』
「ひだかさん、どうかしたんですか?」
『いやいや、こっちのことさ』

 久しぶりに感じた、こういう感じ。
 そうだ、結構こんな感じでやっていたよなというのを思い出した。
 そして、指導が終わり、
『飯食うか』と誘った。
「もちろんです」と答えてくれた。
 これまでの旅のことなどを話し、
『ラスト講義は、現地に飛ぼう』と話した。

 内定を持っている彼女だが、いよいよ彼女もファイナルの時期になってきている。
『ありがとうな。わざわざ来てくれて』
「いえいえ。こちらこそありがとうございます。じゃあ内定先の研修に行ってきますね」
『おう。またな』

 彼女と握手をし、俺は茨城県水戸市に向かった。

≪茨城県水戸市 水戸駅≫

8月27日 PM4:00
 さぁ全国一周でフルコンプリートで写真を撮る。
 これも、いよいよ残すは、茨城県、福島県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、埼玉県
神奈川県、ラスト千葉県となった。
 3日間で、どこまでできるか、移動時間もある。
 かなり難しいことが予想された。
 しかし、水戸駅を歩いていた二人組に声を掛ける事が出来た。
『どうも』
 全国一周を回っていることを告げ、写真を撮って回っていることも伝えた。
 最初は、思いっきり怪訝な顔をされた。
 俺の伝え方が、悪い。
 しかし、彼女達の感受性の高さは、俺の下手なジェスチャーや言い回しを理解してくれた。
 そして、彼女達の夢を聴かせてくれた。
「音響関係のシゴトにつきたい」
 『ライブハウスとかのマネジャとか』
 「そうそう」
 『君は?』
 「ネイリストになりたい」
 『手先をキレイに彩りたいんだ、素晴らしい』

 気が付いたら、膝を突き付け合わせ、会話できるようになっていた。
 ≪世の中の常識≫では、非常識なのかもしれない。
 でも、夢などを聴く術を知らない俺は、こうするしかなかった。

『改めて、もし良かったら、写真を撮らせてもらってもいい?』
「いいよ」
『はいチーズ』




『また、会えるのを夢が実現するのを楽しみにしてる』
「きっとゴールまでたどり着いてくださいね」
「応援してますからね」
 そんな、暖かい声を受けながら、車は一路宮城県の仙台市まで向かった。
 彼女達にお礼のLineを送ったら
 「いえいえ!こちらこそ(・∀・)ありがとうございました!
頑張ってください(^o^)」
 と来ていた。
 膝を突き合わせて、会話することってきっと意味がある事なんだ。


≪宮城県仙台市 仙台駅≫

8月27日 PM9:15
 写真部の高校生と再会した。
 改めて色々と聴いてみた。
「思いっきりツイッターを見てましたよ」
『えっマジかよ』
「結構頑張ってる大人だなって。でもそんな大人嫌いじゃないです」
『大人じゃなくていいよ。大人になれないおっさんさ』
 いつもは、部活で撮影する側。
 彼女の作品を沢山見せてもらった。
「私、賞取ったんですよ。まぁ大きい賞ではないですけど」
『卑下することはないさ。もう賞取るってことは、立派立派。じゃあ俺を撮ろうか』
 
 いつもと、逆。
 前回会ったときも、撮影してもらった。
 建物は、変わらないけれども、少しづつ秋の風が吹いてきた杜の都。
 ピントを合わせながら、彼女は、俺を撮った。
 
『ほいじゃあよぉ。俺にも撮らせろや』
「はい?」
 どうやら、寝耳に水の顔をしている。
『あれだよ。あれ。撮られる側にならねぇといい作品なんてできねぇからよ。課外授業だよ。天才数学者の』
「あー。はー」
『いくぞー。はいチーズ』

『ほら、俺らしさ満載の写真になっただろ』

「どうせ、アップするんでしょ」
『そりゃそうよ』
苦笑しながらも、その行動ひとつ、ひとつが真摯にコミュニケーションを取っていたこ
とを彼女は知っていた。

「ヒダカさんに関われば大変ですね」

 じっくりと、僅かしかない時間の中で、取れるコミュニケーションを取った。
 駅の外の通路
 そこは、≪立派な教室≫であった。

『夜遅くなりすぎてもあれだろうから、気を付けて帰りなよ』
「ヒダカさんこそ、無事に旅を終らせてくださいね」
『また、今度 授業してやる』
「仕方ないですね」

 仙台駅前にあった≪路上の教室≫は、別れと共に、再び幻となった。
 再び、会ったとき、また≪路上の教室≫は、姿を現すだろう。
 再び、会えるその日まで

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