むかしむかしにむかしがありました。
次話:
クリスマスの贈り物
モコちゃんは3才になったばかりのわたしのこども。
母親の後ろ姿を見ながら、
「どうしようもないお母さんが歩いている」と、山頭火のようにのたまった逸話あり。
わたしは、当時編集者で単行本のシリーズのデレクションをおこなっていた。
10冊くらいのシリーズなんだけど、イラストや写真もふんだんに入って実用書で、それぞれの本にたくさんの人が関わってお祭り騒ぎで本作りをしていた。
普段は保育園に送って行って、わたしはその間に仕事をする。
遅くなると保育ママさんがお迎えに行って、私が帰るまでの時間をママさんのお宅で世話していただく。
慌ただしい毎日だからこそ、わたしはテレビというものを家におかなかった。
わたしたちふたりは、毎日夜にちいさな家に帰り、手作りのスローフードを食べ、お風呂に入って絵本を読みながら眠った。
そんなモコちゃんを仕事場に連れて行くこともある。
イラストレーターは若い女性が多くモコちゃんはお人形のようにかわいがってもらった。
そんなモコちゃんが仕事しているみんなのそばで、一人で絵本を広げて声を出して読んでいる。
「むかーーし、むかーーしに、むかしがありました」
まわりにいたみんなは、思わず納得!!
そうだよね、って。
その当時、もう一つ記憶にあるモコちゃんの名言!
「あのね、
お花はね、みていないと、さかないんだよ!」
そうなんだ。
彼女はしっかりずっとお花を見続けようと蕾みのそばでほおづえついてスタンばっています。
そんな姿をそのままイラストレーターの一人がカットにして本の中の挿絵にしました。
わたしたち二人家族は、そんな毎日を送りながらひっそりと暮らしていたんです。
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