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14/1/20

ネットからの初恋そのご

Image by Olia Gozha

はじまりからしてそんな感じだったので、別に好き好き!なんてこともなく、好きですよと言われれば、ありがとうねと返す、そんな日々。

愛してると言われても、やっぱりありがとう、嬉しいよなんて味気ないのが普通でした。嘘をつきたくないですからね。


実は家はあまり近くなく片道2時間くらいかかったのだけれど、ある日デートなんてものをした際に遅くなってしまってさあどうする?なんてなんかわたわたしているうちにホテルに泊まる話になり、ラブホじゃあなかったが、そこの宿泊代を相手が払うというのを見てなんだか申し訳なくなり、美味しく頂かれてしまった。一ヶ月位のことだったと思う。

十九年の貞操の値段として、高かったのか安かったのか知らないけど、あれもあれで多少の計算はあったのだろうか。強制された訳でもないのでうらみつらみというわけでもないのだけれど。そんなところで律儀になるのは宜しくないなと今更思ってみたりする。女の子には是非自分を大事にしていただきたい。


とにかくそんなことでなにかがかわるわけでもなく好きにも嫌いにもならない。

ただ、毎日のなかに、特定の相手とやりとりをする時間が増えただけのこと。

私は面白い人間でもなく可愛らしい人でもなかったから、いつまで持つだろうなあ、なんて思いながら淡々とした日々を送っていた。

そんな感じだった。まあ、私は社宅だったので、泊まれる森さんの側に通うようにならざるえなかった部分も確かにあるけれどね。だいたい週に一度森さんの家に会いに行った。

恋人らしいときめきなんてものは無いし、そうだな。トータルで言うと森さんには4年近くの付き合いがあったのだけれど、両手があればデートの数は事足りた。

けれど私はインドアだったし、一緒にゲームをしてるだけで満足する節もあったので十分だった。


普段の生活は関わらない、会いに行けば一緒に寝る、好きだといえば私もよ、といってくれるが、特に趣味が合うわけでも性格が合うわけでも無い。

共通点なんて何一つ無いその人。しかしいつからだろうか。その人に手放しがたい執着を覚えたのは。

森さんは変わらない人だった。一年以上、そんな生活で安定して、愛してるよとのたまった。人間不信じみたメンタリティを持っていたはずの私だが、一年も好きと言われ続ければ、さすがに信じてしまったのである。

信じたからには側にいたい。側にいれば情がわく。五本指がそっくり収まる広い額だって、アトピーでカサカサの肌だって、まるんとしたお腹だって、すべてが可愛くてたまらなくなった。


人といる幸せ、というか、そもそもああ、心から幸せだ。幸せすぎて、このまま死んでしまえたらいいのに。なんてえことを初めて思ったわけだ。


私の腕枕で安心して眠るさまを見て、なんだかそのままで居たくてしびれてきた腕を引き抜くことも出来ず頭を抱きかかえて、こっそりおでこにキスしてみたりなんてしつつ微睡んだ、そんなゆるやかな日差しの遅い朝を今もまだ覚えている。


人生一番の幸福の記憶、といって思い出せるのはまだそのシーンだ。


あのこが、どう思っていたのかは知らないけれど、どきどきなんて、未だにしたこともないけれど、間違いなく私は貴方が好きだったんだと思うんだ。

きっと。あの気持は恋であったと思う。


ここで問題です。恋愛初心者であり、これまで相手の好意を受け流し通してきたにも関わらず初めて愛情を自覚したこじらせ系女子はこの後どういった行動に出るでしょうか。



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