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14/2/2

上司が教えてくれた4つの"ごちそうさま" (1)

Image by Olia Gozha

僕が高校時代にアルバイトとして社会の中で働きはじめてから、たくさんの上司に出会い、いろいろなことを教えていただきました。

その中でも、僕の人生における幸せの大半の占める""にまつわる4つの教えを書きたいと思います。




食べたい物を食べなさい

22歳の時にしていたバイトの上司に言われた一言。

僕は毎日のようにバイトの休憩中、コンビニで容量の多いカップ麺を選んだり、好きでもない数の多く入っているパンを食べ、できるだけ安くご飯を済ましていました。


たまに上司が気分転換で弁当や出前を頼もうと言い出すのが僕にとって苦痛でしかたなかった。

『コンビニやったら半分の値段で済むやん!無駄な出費やなぁ。』

と思いながら、いつもメニューの中で1番安いものを選んでいた。

"カツ丼"が食べたくても"親子丼"を選び、"牛丼大盛り"が食べたくても"豚丼の並"、先輩たちが"チキン南蛮弁当"だろうが僕は唐揚げが1つ添えられただけの"のり弁当"でした。





僕は18歳からバンドを始め、就職もせずに年中日本の各地域をツアーのようにライブして周ってました。

とは言ってもインディーズバンドの端くれなので給料がもらえる訳でもないし、ギャラがもらえることなんて滅多になく、普段はバンド活動の為に働き稼ぐ。

欲しいものは買えないし、活動が活発な月は借金することもありました。

お金に余裕がないので基本的に休みの日に業務用のスーパーで何週間分の食材を買い込み、冷凍しては使う分だけ解凍して使う日々。外食なんて以ての外。


元々、料理が好きな僕にとってそんな自炊生活は全く苦ではなかった。

むしろ外食や出来上がった弁当なんかを買う方が食材の原材料費を考えてしまい、自分で作ったら...って計算してしまい、

『勿体ない。』って考えてしまう方が苦に感じていました。

いつの間にか身に付いてしまった倹約家のようでケチな考え方。






またいつものように上司が出前を頼もうと言い出した。

僕が内心嫌々ながらもいつも通りに"親子丼"を注文した時に上司が言った。


上司「ほんまに食べたいもんはなんや?」

「え?」

上司「たまには食べたいもんを頼めよ。」

「あ、はい。じゃあ、"カツ丼"で。」

"カツ丼"なんてコンビニなら2回分の値段だ。

財布の中身を見ながら、給料日までの日数と残金の計算をするとため息が漏れそうだった。


今後は節約してできるだけ弁当にしようかなんて考えている内に出前が届いた。

いつものようにお金を払おうとした時、上司が僕に五千円札を渡してきた。



『お前は払わんでええから。』


僕はラッキーと思いながらおつりを上司に手渡した。

いただきます!と同時に"カツ丼"を頬張り、あっという間に完食してしまった。

いつも食べる"親子丼"とは比べ物にならないぐらい美味しかった。


全部食べ終わり、上司に"ごちそうさま"を伝えると、


上司「美味しかったか?」

「最高でした!ほんとありがとうございました!」

上司「これからは好きなもん食べろよ。」

「え。でも、お金に余裕がないんで。」

上司「じゃあ俺が出したるから、好きなもん頼め。」


この日以降、上司が出前を頼もうと言う回数が増えた気がした。


それから数日後、さすがに『毎度毎度申し訳ないな。』と思いながら、出前でごちそうしてもらった"天丼"を食べ終わり、上司に"ごちそうさま"を伝えると、



『お金のこと考えて食べたいもん食べずに我慢してばっかりじゃなくて、食べたいもん食べることも大事やぞ。

1日に3回あるご飯に幸せに感じれたら毎日3回は幸せ感じれるんやから。

美味しいもん食べて幸せやなーって思う事で、これからも頑張ろう、もっと良いもん食べれるように頑張ろうって思える力にもなるんやから。

今はお金なくて大変やろうから、余裕ができるまでは出したる。

その代わりにお前がちゃんと食べたいもん食べれる喜びを理解して、お金に余裕ができたら後輩に食べさしたれよ。次はお前が教えてあげるんやで。

それが立派にできるようになったら、俺にごちそうしてくれ。』




それからも上司はずっとどんな時でも僕に好きな物を食べさせてくれました。


それから数ヶ月後、上司は転勤してしまい未だお返しはできてないまま。

今は社会人として働いているので僕も少し余裕ができてきたので、あの時教えてもらった"食べたいものを食べる"という喜びをしっかり感じています。

それが自分の稼いだお金でなら尚更嬉しさが増すということにも気づきました。



後輩や彼女にも美味しいもの食べさせてあげたいとも思うようになりました。




そろそろ、上司に連絡してみようかなと思ってます。






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