精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑥その後眼鏡代は病院が負担してくれましたって話。

前話: 精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑤人を嫌うときは必ず自分の心に問題があるって話。
次話: 精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑦仕事の時はバンダナ必須で、ぜったい外しませんという話。

それは朝方の保護室で起こった。

その部屋には前日入院した統合失調症の急性期の患者さんが休んでいました。

[統合失調症の急性期:統合失調症の患者は周囲への安心感が希薄であるため、入院当初スタッフを信頼してないことが多い。

頭の中は妄想と幻覚で混乱してる上、不安感でいっぱい。

人間は不安感が強く周囲を信頼できない時、自分の身を守ろうと周囲に対して攻撃的になる]

そんな状態の患者の側に行くのは看護師もいつ何をされるかと不安です。

しかしその不安感は患者に伝わるので、出来るだけ気持ちを整えてから患者さんの元に行くようにします。

けど、そんなのお構いなしに中には問答無用に襲ってくるやつもいます。

患者さんは一晩良く眠り、朝方目覚めた様なので俺は採血する為保護室に入りました。

患者は「やだ、やりたくない」と拒否したので速攻あきらめ、一度保護室から出ようと扉を開けたその瞬間!

「レンズはずせ!山崎だろお前!扉全開!全開にしろって!!!」

と大声で叫び出しこっちに向かってきました!


「山崎ってだれよ?!」

と思いながらどう止めようか迷ってる内、俺に体当たりしてきました。

鉄の扉に頭打ちながら前室に吹っ飛ばされた俺。

患者はどうやら眼鏡に妄想が絡んでるようで執拗に眼鏡を狙ってました。

俺は昔空手をやってたので、反射的に殴っちまおうかと思ったけどそんな事したら一発で首なので出来ません。

避けるか防ぐしかないので圧倒的に不利なんだけど、患者に怪我させる訳にいきません。

避けきれず眼鏡が吹っ飛ぶと、患者は俺の眼鏡を何度も踏みつけた後手で拾い丁寧に丁寧に折っていきました。

ぽきっ、ぱきっ、ぽきっ、ぱきっ、ぽきっ、ぱきっ・・・

スローモーで聞こえるその音は俺をとってもせつなくしました。

ああ・・・お気に入りの眼鏡が・・・


患者は一向に落ちつかず、後ろから抑えてるのに人の眼鏡折って保護室に戻らないでいました。

どうしたもんかと考えてた時、同僚の後輩の女の子が患者の声を聞いて前室に入ってきました。

患者はそれに反応して再び暴れだし、後輩に襲おうとしました。

やばいと思い前から抑え込んだけど、リミットの外れた人間の力はすごく、やられ放題殴られ蹴られました。

後輩も患者を保護室に戻そうと近づき腹を蹴られました。

けど後輩は蹴られてもなお怯まず、冷静に保護室の扉を開け再び患者の元に近づこうとしてました。

そんな姿を見て「こいつも精神科看護師として成長したなあ」とふと冷静に思いながら格闘してると、患者は後輩の腹をさらに蹴りました。

さすがに切れた。

患者を引きずり倒しそのまま部屋まで引っ張ってマットに放り投げた。

今思うと怪我させんで良かった。

後輩曰くこの時俺すごい形相だったそうだ。

久しぶりに患者にまじ切れしてしまった。

詰所に戻って顔見るとあざはあるし、顔張れてるし、切り傷できるしとすごいことになってました。

身体中痛くてじんじんしてた。

ぐったりしながらドクター呼ぶと「俺も眼鏡掛けてるから中に入れないなあ」とずっとモニターの前に立ってた。

・・・って、おいっ!

心の中で突っ込んでたが結局日勤のスタッフが来てから5,6人で部屋に入り抑制し点滴した。

うーん、俺って殴られ損。

でもちょっと嬉しかったのが、俺の姿見て他の患者さんもスタッフもみんなとっても心配してくれた。

そんだけひどい様子だったらしい。

みんないたわってくれるなら、たまには良いもんだ。

滅多にこんな経験出来無いので、仕事終わってから後輩と話が盛り上がり大笑いした。

去年入ったばかりの別の後輩は「私だったらそこまで面白がれません、2人とも頼もしいですね」と言ってくれた。

俺も後輩も成長したるんだなぁと思ったできごとでした。

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精神科看護師として働いていた時の衝撃的事件簿⑦仕事の時はバンダナ必須で、ぜったい外しませんという話。

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