母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑭ エピローグ 完結編

3 / 3 ページ

前話: 母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑬ エピローグ 前編

おじさんの運転する車で札幌に戻る日がきた。

天気は良く、陽の光は暖かく風が気持ち良い。

母のいつかの言葉を思い出す。


「自分が死んだら窓をノックするわ。じゃなかったら、陽の光となり風となり、いずれにせよ何かしらの合図を送るわ。」

雲が綺麗に流れていて、雲海が広がるようだった。

どこか見果てぬ彼方まで続くかのように、どこまでも、どこまでも・・・

車中から外を見ながら、涙が溢れるが、ヒロは何も言わない。

「雲が綺麗で涙が出た」と俺は一言呟いた。





母さん、お元気ですか?

俺は元気です。

だって俺、一人じゃないから。

俺は今、辛い時に力になってくれる最高に素敵な仲間達に囲まれています。

きっとこれからも人生の中で大変な時がくるでしょう。

寂しい時もあるでしょう。

苦しい時もあるでしょう。

つらい時もあるでしょう。

でも、大丈夫そうです。

俺は一人じゃないから。

これからもがんばって生きていけそうです。

今まで愛してくれてありがとう、そしてさようなら、母さん・・・


シリーズ・死を想え 完

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで読んで下さった方へ。


長い文章にお付き合い下さり、本当にありがとうございました。

貴方の心に何か残るものがありましたでしょうか?


これは10年以上前に書いた日記です。

久しぶりに読み返したら、案外忘れていることも多かったです。

時間は偉大で辛いことも楽しいことも、全て薄めてくれるのです。

日記に残しておいたからこそ、当時の気持ちを思い出すことが出来ました。


今私は二児の父です。

そして、もうすぐ三人目が生まれます。


自分は何者で、どこから来て、どこへ向かうのか。

何に感動し、子供達に何を伝えたいのかを考えた時、私は過去から振り返らねばならないことに気が付きました。


いつかこれを子供達が読んだ時、どのように感じるでしょうか?

貴方はどう感じましたか?


最後に皆様に個人的体験からのアドバイスと医療関係者としてのアドバイスをします。

1つ目。

遺産は残さない方がいいです。

私にとっては、たった80万でも祖母と縁を切る原因となりました。

そして、遺品を浅ましくかすめ取ろうとする親戚に心を傷つけられ、縁を切りました。

妻には必ず兄弟げんかになるから、仮にご両親がなくなっても遺産の相続は絶対放棄しなさいと伝えています。

遺産は一切残さない、受け取らないようにすることを強くおすすめします。


2つ目。

一人で家族を看取ることは容易ではありません。

個人的経験上からもおすすめはしません。

とても苦しい体験でした。


しかし、現在は地域医療の体制が10年前に比べ格段に整いつつあります。

24時間の訪問看護や介護サービスも増えました。

24時間の訪問診療を標榜する医院も増えました。

社会資源を上手に利用したら、負担をずっと軽減できるかと思います。


貴方の大切なご家族を家で看取りたいという気持ちこそが最も重要です。

訪問看護師はきっと親身に話を聞いてくれるでしょう。

ぜひ、ご相談してみて下さい。


それでは、最後にこの日記を載せる機会を頂きました、STORYS.JPの運営の皆様と、これを最後まで読んで下さった方達、そして、「読んでよかった」や「続きを読みたい」とおっしゃって下さった皆様に心からの感謝をお伝えします。

この後の波瀾万丈な人生はまた別のお話で。

皆様、ありがとうございました。


著者のTakai Reiさんに人生相談を申込む

著者のTakai Reiさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。