母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑭ エピローグ 完結編

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前話: 母を自宅で看取り天涯孤独になった瞬間の話。⑬ エピローグ 前編

所長は「ここ近年で一番私達は何もしない最期だった」という。

「普通は家族が苦しくなって、訪問看護師は夜勤体制になって、両方大変になるんだけど、私達は今回本当に何もせず楽させてもらったわよ」と笑っていた。

そして、「良くやったね。一人で頑張ったね」と言ってくれた。

そうかー、頑張ったんだ俺。

そうだよなー、結構辛かったもんなー。

苦しい体験だったよなー。

今まで実感なくばたばたしてたけど、少しホッとして自分を褒めようと思った。

「最期まで自分らしさを忘れず生きたお母さんと、それを支える家族に関わって私達の方こそ多くを学んだわ。これから看護をしていく上での励みになった。私達の方こそ勉強させて頂き、ありがとう」と言ってくれた。

その看護に対する哲学と姿勢には心から尊敬する。

祖母の事も心配してくれて、祖母のケアマネージャーと連絡取るよう助言してくれた。

さすが所長と言う感じで、色々教わりながら遅くまで話した。

所長、今まで母の力になってくれて本当にありがとうございます。

所長で良かった。

本当に本当にありがとうございました。


多くの人に出会い、礼を尽くそうとがんばり、母の死を想い、函館での時は過ぎていった。

函館最後の夜、俺とヒロとお通夜の日に夜通し付き合ってくれた友人の3人で飲みに行った。

酒が入るとすぐに開放感と達成感、安堵感でいっぱいになっていった。



酒も時間も深くなった時、友人が「泣いてもいいんだよ」と言った。

ヒロは笑顔で「お疲れ、がんばったな」と声を掛けてくれた。

その言葉を聞いて、この激動の1ヶ月が一つずつ思い出されていった。

今まで頑張って堪えてきた苦しさが涙と共に溢れていった。

感ずるままの言葉を吐き出した。


「苦しかった・・・・・・苦しかった・・・・・・苦しかった・・・・・・」


涙と共に出てくる言葉はそれだけだった。

辛かった。

苦しかった。

悲しかった。

痛かった。

寂しかった。

傷ついた。

ふと気付くと、俺はすでにぼろぼろだった。

でも、支えてくれた人がいる。

見守ってくれた人がいる。

心配してくれた人がいる。

励ましてくれた人がいる。

一緒に笑った仲間がいる。

俺は一人じゃないんだ。

一人じゃないんだよ。

決して一人じゃないんだね。

そう感じて、ただただいつまでも涙が溢れる最後の夜だった。

エピローグ・6(2003年9月21日) Last day in Home town.


家を引き払ってからはヒロのご実家にお世話になっていた。

おじさん、おばさんとも本当に優しく親切にしてくれた。

おじさんは俺に「ヒロと同じ歳の息子が出来たみたいだよ」と言ってくれた。

その言葉に何も言えず胸が詰まった。

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