秘密の扉 06

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現実世界の秘密



 凉子は今日一日振り返り、素晴らしい一日だったと、しみじみ感動に浸り、身体に「今日一日ありがとう」とつぶやいて、床に入った。

 夢の中で凉子は、周りが白い世界に一人たたずんでいた。突如、青年が現れ「どうだった」と尋ねるので、凉子は二つの現実を体験しておもしろかったわ、だがねぇ、現実が微妙に違っているの」

「それはどういうこと」

「え~とねぇ、アルバイト先が、食品工場が、スーパーにとなっている。これはどういうこと? 」

「別に不思議はないのさ、なぜなら、それはあなたが選んだ現実で、その通り経験したんじゃないか、それにさ、まったく違和感など感じなかったろう。」

「それは感じなかったけど、それでは説明になっていないわ」

「ここでは時間が存在しないと言うことも、物理的な時間も幻想なのだと言ったよね」

「それで」

「想像してごらん、時間が存在しないって事は、すべては同時に起きている。始まりも、終わりも、すべてが同時に行われている。」

凉子は考えてから「運命は存在するの?」

青年は笑って「そんなもの存在するわけがないだろう、あなたはまったく同じ日に、別の出来事を経験したんじゃあないか」

「そうだったわね、それではどういうことになるのかしら」

「別な例えで言えば、今、あなたは映画館の席に座っていて、あなたの一生という映画が上映されていると仮定してごらん。」

「それで」

「あなたの、前回の体験をするとき、別の映像に自分の意識が吸い込まれて、別の一日を経験したわけだろう」

「そうだわねぇ」

凉子はしばらく考えてから「その映像を作っているのは、私自身の思考や願望」

「そのとおり」

凉子は「だが、自分の思い通りにいかないことが多いわ」

青年は「ここで矛盾が出てくるんだ、あなたが思考するたび、現実を創造する。

だが、それはあなたの本音が現実となり、あなたの願望ではない。つまり、あなたが欲しいと思う願望を抱くたび、それを遠ざけている事がある。」

「そうかな?」

「よく考えてごらん、あなたの願望とは、あなたの中で達成されていない出来事、つまり、それに対して不足感を抱いているだろう」

「涼子は「はい」と言った

「ないと言う不足感が、そのまま増幅され現実になる。あなたの理想と現実との溝を埋めるには、願望だけではただの空想に過ぎない、それを言葉と行動によって、加速させる必要がある。あなたがこれが現実だと思うところまで、感じることができるまで、決して気を抜いてはいけない。」

凉子はこの説明に納得していた。

続けて青年は「人生の栄光はゴールにあるのではなく、それに向かう過程にあると気づくことによってあなたは人生の秘密に近づくことができる」

凉子は「それで」

青年はさらに「この困難みたいな道を走り抜けるには、物の見方に注目しなければならない」

「物の見方?」

 たとえばと青年が言った瞬間、大きなスクリーンが凉子の前に現れ、凉子五歳の時、おかあさんに長靴と傘を買ってもらったとき、雨の日が待ち遠しくてはじゃく姿があった 。

青年は、「この頃は雨の日が待ち遠しかったのに、今は雨降りは嫌だと感じている。なぜだろうねぇ?」

凉子は意外な展開にも戸惑いつつ、答えを模索し「その状況の捉え方が違っているのかな」

「そうかも知れないねぇ」

雨を嫌いになった理由を、あなたの彼が書いた詩が・・・・


 雨

雨降り

気分は沈みがちだ

なぜ

行動が制限されるから

傘が邪魔だから

雨に濡れるから

それとも、雨という状況に

うんざりしているとか

理由は人それぞれ


それはあなたの捉え方に過ぎない

別の捉え方をすれば

雨は作物を育て

命のサイクルに欠かせない

と言っても

 人の考え方、捉え方は

 そう簡単には変わらない

と言う詩だが、よく核心を突いているよ



秘密の扉 07に続く



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