住所不定無職の旅人から大学教員になった話。

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後編: 住所不定無職の旅人なのに結婚することが出来た話①

旅に出発した時に持っていった本は2冊だけだった。



旅人となって日本を出発する時最初に持参したのは、高橋歩の「LOVE AND FREE」とパウロ・コエーリョの「アルケミスト」の2冊だった。

どちらも自分が旅人になろうと思ったきっかけの本だ。


「LOVE AND FREE」 は高橋歩が夫婦で世界中を1年8ヶ月旅していく中で感じたことを表現しているのだが、言葉がストレートで力があって、芯に響いてくる感じが好きで持っていった。

こんな力のある表現者になりたいという希望も込めて。


「アルケミスト」は人生や旅において最も重要な事は、心の声を聴くことだと物語を通じて表現しており、自分の旅と重なるものを感じて日本で何度も読み返していたので、持っていった。



この2冊は暫くの間、一緒に持って移動していたが、「LOVE AND FREE」はだんだん自身の心の言葉とは違うことに気付き、途中で旅先の宿に寄贈した。

「アルケミスト」は何度も読み返し、自身の心に栄養となったので、やはり途中で旅人と交換した。



旅をしていると、暇な時間が圧倒的に多い。

移動する時間は景色を楽しめがいいが、それだって限度がある。

また、目的地に着いても毎日観光するわけではなく、宿でだらだらっと疲れを癒やす日のほうが多かったりする。


移動のペースが早い時でも、到着日は宿周辺を散策し地理や飯屋さんの場所を把握し、2,3日目に観光し、4日目に次の目的地を下調べしたりし、5日目に移動って感じだ。

なので旅人は圧倒的に宿で過ごす時間が多いのだが、その時間のほとんどを俺は読書で過ごした。

その多くは宿にだれかが置いていった本や、旅先で知り合った日本人と交換した本だ。

移動時や暇な時間に何も読むものがないのは軽く恐怖だった。

初めはそのストックが1,2冊だったが、時間が経つに連れ常に5,6冊はストックがないと不安になってしまった。



2年間で読んだ冊数は300冊を軽く超える。

これでもかなりゆっくり読むよう心掛けてのことだ。

ゆっくり一言一言大事にしながら様々なジャンルの本を読んでいた。


後で、リストを見直すと、まー種類の多いこと。

ガイドブックを初め、SF、伝記、歴史小説(大好物)、哲学、神話、ライトノベル、純文学、エロ小説(こうぶ・・・、いやそれほどでも。(汗))、経済、飛行機サスペンス、推理小説(好物)、マンガ(大好物)、宗教、アート、パニック、ホラー、etc...

分類ができないものも多かった。



かなりの数の本を読んでは交換し、読んでは交換しと繰り返していたが、所詮は誰かとその都度交換するものであるため、系統だって何かを学ぶことが出来なかった。

当然である。



2年間の旅人生活で感じたことの一つが「社会で働くということは、知らず知らずにその世界において必要な技術や知識を系統だって学び続けている」という事実だ。



系統だった知識への渇望



旅も1年半も経つと系統だって何かを学ぶ機会を失って久しく、焦燥感を抱き始めていた。

みんなの読んで良かった!