大事な事はすべてパチスロから教わった(第5回)無心で打てば不安は消える

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30日間、毎日ひたすらデータ分析、シュミレーション、
そして常連さんとのコミュニケーションを行い、
いよいよ僕がホールデビューする日が来た。

最初の軍資金は7万円
この7万円は、師匠から頂いたものだ。

僕が弟子になることと引き換えに、このお金をもらったのだ。

パチンコやスロットを本気でやっていくのに、正直7万円じゃ少ない。
最低でも20万円ぐらいないと、心に余裕が無くなり、冷静な判断が出来なくなるかもしれない。

しかし、その辺りは、さすが師匠と言ったところか。
7万円がもし無くなったとしても、そこから先は師匠が全部出してくれるらしい。

こういった保険をかけてくれれば、それだけでも安心する。
なんて良い師匠なんだ・・・(泣)
僕なんかにこんなに優しくしてくれるなんて・・・

たとえ、それが実際には口だけだったとしても、それを言ってくれるだけで、
心にも余裕が出て、冷静な判断が出来るようになる。

実際に7万円が無くなれば、きっと師匠はまたお金を出してくれるだろうが、
そうならないように全力で頑張ろうと思った。


そして当日。

いつものように師匠を迎えに行き、パチンコ屋に並ぶ。

今日もいつものように一番乗りだ。

僕らはいつも開店する2時間前にパチンコ屋に行く。
よっぽどの事が無い限り、”一番"は揺るがない。

最近のパチンコ店は、”先着順”ではなく”抽選"で順番を決めることがほとんどだが、
当時、僕らが拠点としていたパチンコ店は、並んだ順番で店内に入ることが出来る。

この日は、僕のデビュー日という事もあり、師匠の川田君も気合いが入っていた。



川田君
いよいよデビューだね!
うん。でも負けたらどうしよう...
川田君
ハッハッハ!大丈夫大丈夫!
シミュレーションではトータルプラスになったんでしょ?
そうだけど...
川田君
そしたら大丈夫!俺を信じろ!
5年間勝ち続けてる俺が言うから間違いない!
そうか。そうだよね!

ありがとう!きっと大丈夫!


やはり5年間実績を積んできた人の言葉には妙に説得力がある。
師匠が少し励ましてくれたおかげで、気持ちがかなり楽になった。

そしてチラホラと、いつものように、常連さんがやってくる。

常連さん
おはよう!今日も良い天気だね!
川田君
おはようございます!そうですね!雨降らなくて良かったです!今日は特別な日なので(笑)
常連さん
ん?
今日って新台か何かのイベントの日だっけ?
川田君
いや、違うんですよ!実は今日から三田君がホールデビューするんですよ!!
常連さん
なるほど、そういうことか!
ハッハッハ!それはいい!
三田君はいつも見てばっかりだったもんな。やっと打てるのか?パチンコは見るよりやる方が楽しいぞ!ハッハッハ!
そうなんですよ。今日から打ちます!
緊張しますけど、頑張ります!!
常連さん
おう、がんばれよ!勝ったら飯でもおごってくれ(笑)
分かりました!勝ったらおごりますよ!いつもお世話になってるんで!
常連さん
おうおう、強気でいいね!冗談冗談(笑)
気持ちだけもらっておくよ!

それよりも川田君におごってやりなよ!いつも面倒見てくれてるんでしょ?
そうですね。いつも川田君にはいつもお世話になりっぱなしです!
いくら感謝してもしきれないですが、ちょっとずつ返していきますよ!

        ・
        ・  
        ・

       (略)

そんな会話をしていると、ついに開店の時がきた。

今日の狙い台は一番奥の島の左から2列目の台だ。

ちなみに”島"というのは、”列”ということだ。
要するに一番奥の列の左から2列目だ。

なぜこの台を狙うかというと、ここ3日間連続で出ていないからだ。
出ていないというより、出てなさすぎる。

BIGの確率も、REGの確率も、合成確率も設定1より下回っていた。

ちなみにBIGが大当たり
REGが小当たり
合成確率というのは、総回転数からBIGとREGをたした数を割ったものだ。

合成確率 = 総回転数 ÷(BIGの数+REGの数)


おそらく3日間連続で"設定1"だったのだろう。
もしくは、前日は設定をあげたが出なかった。

ならば、この店の、
『2日間出なければ設定をあげる』
という法則に従って、今日はどちらにしろ、高設定の確率が高い。

ならば、出るまで鬼回しするだけだ。

師匠は狙い台がないので、休憩スペースで待機。
良さそうな台が空き次第、参戦する。

そして、いよいよ10:00。

店が開店した。

先頭なので、余裕を持って、歩いて狙い台まで行くことが出来る。

店内で走るのはマナーが悪いと思われる。
マナーが悪いと思われれば、パチプロにとっては死活問題だ。

無事に狙い台を確保し、打ち始める。


千円、2千円、3千円・・・


あっという間にお金が減っていく・・・


5千円、6千円、7千円・・・


ついに1万円。


しかし、一向に当たりが引けない・・・

周りはちょこちょこ当たりをひき始めているのに、
僕が打っている台は、うんともすんとも言わない・・・


1万5千円、2万円、2万5千円・・・


この辺りから嫌な予感が頭をよぎる。


(まさか・・・また設定1か・・・)


そして隣の角台が爆発し始める。
3連チャンぐらいして、箱にコインを入れ始めた。
ジャラジャラという、甲高い音が、イライラを増幅させる。


(くそーー何で当たらないんだ・・・

初めてなのに負けるなんていやだ・・・)


3万5千円を入れた頃、師匠が様子を見にやってきた。
少し休憩がてら、師匠と二人で休憩スペースに行く。

川田君
どう調子は?
見ての通り、全然ダメだよ...
川田君
ハッハッハッ!もう落ち込んでるのかよ(笑)
まだ始まったばかりだろ?もう心折れちゃった?
そりゃ落ち込むよ...

だってもう3万5千円負けてるんだよ(泣)
川田君
おいおい。たった3万5千円だろ?2千枚出せばいいだけじゃないか!
軽く2千枚って言うけど、そんなに出るのかな?
川田君
それは分からないけど、ちゃんと狙い台に座れたんだろ?
うん。一応。
川田君
なら大丈夫だって!

無心で打てば不安は消えるよ!
自分の分析したデータに自信もって!
無心で打てば不安は消えるかぁ...

確かに打ちながら色々考えちゃってたかもしれない。いくら考えたところで打つしかないもんね。

師匠と自分を信じて頑張ってみるよ!
川田君
おう!ギャンブルではなく、労働してるつもりで頑張って!工場で作業している感覚で!
分かった。ありがとう!


さっきまでイライラしていた心が嘘のように、穏やかになった。

そして席に戻り、再び打ち始めた僕は、3万6千円を投入した。


その時!!



<追伸>

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