性別聞かれて困ることがありますか? <その2>

前話: 性別聞かれて困ることがありますか?

前書いた文章では、今までため込んでた思いを思いつくままでしたが、大勢の人にお読みいただいたようで、本当にありがとうございました。
その際ちょっと大仰な内容になっていたこともあって、今回は、性別や性差について戸惑ってしまう身近な出来事を書きたいなって思いました。


ライブにて・・・。

あたしのちょっと多めの趣味の中のひとつが「ライブ」です。好きなジャンルはJ-POPで、YUKI、miwa、奥華子、グループ魂、ベッキー♪#、いきものがかり、植村花菜など。アイドルについてはここで述べているので割愛しますね。
で、ライブで盛り上がるのが何と言ってもコール&レスポンス。よくあるパターンがこういう感じのです。

アーティスト
1階!
Yeeeeeeear!
アーティスト
2階!
Yeeeeeear!
アーティスト
男子!
Yeeeeeeeear!
アーティスト
女子!
Yeeeeeeeeear!
アーティスト
全員!
Yeeeeeeeeeear!

まー盛り上がる盛り上がる。これだったら客が歌を知らなくても声出せますしね。よくある、客にマイク向けて、客に歌わせるのって、その歌を覚えなかったり、ヲタ芸をしらないとついていけないので、こういう簡単なコール&レスポンスがよくおこなわれるわけです。
この時にあたしは困ってしまう。「男子!」で「イエー!」と言えばいいのか、「女子!」で「イエー!」と言えばよいのか。どうでもいいんですけどね。ただやっぱり複雑なんです。なので「全員!」のときだけやるようにしてます。それとも男子のときも女子の時も両方やっちゃうのもひとつの手ではあるのですが、なんか図々しく思えてしまって。


ラジオ番組にて・・・。

地デジ化移行後、ほとんどテレビを見る機会がなくなり、日常はラジオを聴く生活になってます。FMラジオみたいなかっこつけたのは苦手で、AMラジオのハガキやメールを読んでコミュニケーションを図るような気楽な番組が好き。で、メールを読む際に、必ず「男性」「女性」ということを付けるしゃべり手の人が多いんですよね。メールに性別が書かれてあるのか、それともラジオネーム(ペンネームみたいなもの)とは別に本名が書かれてあって、その本名から判断してるのかわからないですが、そうするとあたしはどのようにメールに書けばいいのかって戸惑っちゃうわけです。まさか「MTFのGIDです」だなんて書けないですからね。いえ、実は「自分がGIDとして診断された」ことを、何かの権利が与えられたかのように勘違いして、いろいろな公共の場面でトラブルを起こすような人々を数多く見てきますから、そんなふうにはなりたくないわけで。なのでそういう時には本名を書かないか、あるいは性別として「オカマ」と書いてます。これだったら読まれないでしょうし、読まれたとしても笑って済ませることができますしね。


この2件については、その程度のことはしょうがないよねーって思ってます。だってそこまで気を回すよう言い正したら、それこそ変な市民組織的な活動みたいになってしまいますもの。実際、とあるGID団体はそういうことに近いことをやってますしね・・・。そういうのは大嫌いです。


新聞のWebサイトにて・・・。

だけど、ちょっと気になる記事を朝日新聞に見つけましたので紹介したいと思います。多分掲載されたのは2014年3月22日の土曜日の夕刊です。あたしは新聞はWebしか読まないひとなので、記事を読んだのはWebでしたが。

http://www.asahi.com/articles/ASG310CZ0G2XUTQP024.html

バンカラ、学ラン大好き…女性で活気、花の大学応援団

 入学式や大学スポーツが始まる春の訪れとともに、大学応援団が活気づく。特に最近は女性団員の活躍が目立つようになってきた。学ランに学帽といったバンカラなイメージが強い「男の世界」に、なぜ飛び込む女性がいるのか。

■長い髪ばっさり

 学帽をかぶり、校旗を掲げる旗手の前に、黒いスーツを着こなした早稲田大3年の木暮美季さん(21)がどっしり構えた。しっかりとした声で指示を出す。「声が低くなった。昔は歌えた女性歌手の曲も今は声が出ない」と笑う。

 応援団にはバンド部と女性のチア部もあるが、一般的には学生服を着た男性によるリーダー部を指す。木暮さんは1940年創部の早稲田大応援部でも、25年に始まった東京六大学野球でも、初めての女性リーダー。昨年12月に副将になり、東京六大学応援団連盟委員長に就任。同連盟初の女性トップになった。

 最初は高校で続けていたチア部に入るつもりだったが、野球を応援する男性リーダーの迫力に圧倒された。背中まであった長い髪をばっさり切り、以来ショートカット。当時の小御門(こみかど)俊郎監督は「門前払いはもったいない。早稲田が好きなら男も女も関係ない」。

 リーダー部員は17人で、毎日正装のスーツと革靴で登校する。合宿では10キロ走ったり重さ15キロの校旗を持ったり。「男性の世界でも私らしさを消さない。賛否両論はあるけど、時代に合った応援部を作りたい」


まーマスコミは相変わらず早稲田が好きですね~っていう気がしないでもないですが、早稲田じゃない同じような記事が読売にもありましたので、もしご興味がある方は一読くださいませ。http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/hakumon/2013spring13.htm
TOEIC930点の女性応援団長


この記事を読んだ時の正直なあたしの感想としては、気持ち悪さを感じました。よくもまあこんな記事を書けるものだなって。書いたのが野田枝里子という女性記者だったことも含めて。

これ、もしも逆だったら果たして受け入れられたでしょうか? つまり、男子がチアリーディングにあこがれて、あのチアリーダーの衣装を着て入部を希望した際に受け入れられるかどうかです。まー無理ですよね。よほど女性の恰好をした時に容姿端麗でない限り。みなさんの誤解を解いておきたいのは、MTFだからといってみんながみんな、テレビに登場するようなキレイな女装者であるわけではないのです。いくら頑張っても、見かけ上はできそこないのオカマになってしまう人がほとんどですから。

いえね、別に男性にチアリーディング部への入部を認めろなんていう、過激な間違ったジェンダーフリー論を振りかざすつもりは毛頭ありませんが、やはり男性あるいは女性として生まれてしまったために強いられるジェンダーというのは、かなり強固なものであることを前提として、互いの性差を認めながら、お互いを補完できるような社会になってほしいなーって思うわけです。


ここから話が飛躍します。


おそらく女性が男性中心の世界に参画していくことより、男性が女性の多く所属する世界に参画していくほうが、世の中の「良識ある世間」の目には奇妙に映ることが多いと言われています。大相撲のような封建的な時代遅れな既得権にまみれた腐った社会は別として。

あたしが大学生のころ(1980年代後半)は、ちょうど男女雇用機会均等法が施行されたタイミングで、男性中心の社会に対する女性の進出について、いろいろ議論や試行錯誤が行われようとしている頃です。ちょうどそんな頃、大学の講義でつぎのような説明を受けて妙に納得した記憶があります。それはすなわち、

世間をひとつの球に例えるなら、男性はその中心に近いところに集まっていて、女性は中心より遠い位置に分布しているとして、女性が男性の役割を担うことについては、周辺から中心へ人材が移動することになるので球の重心がより安定するから、世間から受け入れられやすいのに対し、逆に男性が女性の役割をしようとすると、球の重心が不安定化するので受け入れられにくくなっている

というものでした。雇均法は、男性中心の社会をどう女性に参画させるかのみが議論の中心で、それは当時は圧倒的に女性が不利益を被っていたため、やむを得ないことだったとは思います―――その結果として、女性の「総合職」(あくまでかぎかっこ付きですからねっ)という名の下での女性観の差別が新たに生まれたにすぎないのですが。じゃあ今でも女性の社会進出が十分かと言えばそんなことを言うつもりは毛頭ありません。まだまだ改善すべきポイントはいっぱいあります。

じゃあ逆のパターンはどうでしょう。今でこそ、男性のキャビンアテンダントや保育士や看護師は珍しくはなくなってきましたが、まだまだ少数派でしかなく、1980年代だとほとんど存在していなかったはずです。だからつい最近まで、キャビンアンテンダントがスチュワーデス、保育士が保母、看護師は看護婦としか呼ばれてなかったのです。
また、男性が外で労働しないで家事を担うようになると「ヒモみたい」だの「男のくせに」だの、ご近所様から冷たい目で見られることでしょう。男性は外でバリバリ働くべきだというジェンダーを強いられていたその証拠に、母子家庭には行政から児童扶養手当が出ますが、父子家庭は平成22年までその対象から外されていたくらいですからね。


飛躍終わります。


ただの女性応援団長の記事だけでここまで考えてしまうあたしもほとんど病的だとは思いますが、そんなふうな考え方もあるのねって思っていただければ幸いです。

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