若年性脳梗塞になってみた その3 ~ 病院愛憎劇場序幕 電話は知っていた ~
騒ぎの中心が自分だった!ということでマジこんな顔(気に入ったらしいW)
嘘でしょ~!!最悪のパターンだったんじゃねーか!だったら昨日、すぐに救急車呼べばあんな怖い一夜を過ごさなくてよかったのに!
畜生、ヤブ・・・いやたけのこ医者なんぞ信じず己とあの看護師さん信じればよかったわ!(しかし後日分かるが梗塞がかなり特殊な形だったので緊急搬送先で分からなかった可能性もあったりした・・・)
と、色々愚痴は出てくるものの現実は現実。というか現実から逃げたくて愚痴が出てくるわけですが現実は止まらない(笑)
女性の先生はクールビューティー(本当。入院中目の保養になってくれましたw)な顔で現実を伝えてきます。
「入院は長期になるかもしれませんが今のところわかりません。神経内科の病棟のベッドが空いてないのでHCUに3日間ほど入っていただくことになると思います。
Kaoさんの場合はお年が若いこと、糖尿病などの基礎疾患がないのでかなりまれなタイプの脳梗塞になります。脳梗塞は分かりますか?」
医療系の仕事はしてましたし、その可能性も考えていたので私は頷きました。
「ああ、お仕事医療系でしたね。ではご存じだとは思いますが一応説明させてください。
脳の血管に血の塊などが詰まって起こる病気です。それによって酸素が来なくなった脳がケガをして今のような状態が起こっています。
いまHCUがあなたの受け入れを準備しています。準備が来たら看護師が来てくれますのでそれまでここでお待ちください。」
(HCUとはハイケアユニットの略。ICUと言われる集中治療室まではいかなくていいけど一般病室では心配、という集中治療室に準じた医療がされる場所です)
そういって女医さんは「ご入院の手引き」という冊子を渡してくれました。
ものすごいスピードで物事が進んでいくことに正直頭がついていきません(笑)
「と・・・とりあえず家に着替えだけ取りに帰っていいですか?」
「許可できません。ご家族に連絡して持ってきてもらえませんか?」
え・・・?自分そんなにヤバかったんですか??(汗)
「少しだけでいいんです。両方の実家が遠方で、夫も今日出張で遅いしそういう準備ができるとは思えないので・・・・」
そういうと女医さんは少し気の毒そうな顔をしてくれました。しかし毅然に首を横に振ります。
「お気持ちは分かります。でも許可できません。
着替えのレンタルとかもありますよ。スタッフにパンフ持ってきてもらうように頼んでおきますからね。大丈夫ですよ。
あとここは携帯通話が禁止ですのでスタッフが後程電話持ってきますから、ここで連絡をしてください。あとはできる限りベッドから動かないでくださいね。」
『うっそーーんwwあの理系くんに入院準備なんかできるわけないんですよw先生!!
自分の身の回りが精いっぱいですよ!絶対頼んでもパジャマ上下で違ってたりとかしますよw・・・これはレンタルしてお金で解決するしか・・・
・・・・ちょっと待て、昔オヤジが入院した時ICUとかってめっさ高かったような・・・』
と今度は銭ゲバモード発動する私。自分の体の心配をしろ(笑)
「あ・・・あとHCUって高額って聞いてるんですがどれくらいかかりますか?」
「一日二万くらいだったと思います。でも高額医療費の対象になりますから大丈夫ですよ。その説明も『入院の手引き』に書いてありますから大丈夫ですよ、心配しないで。
とりあえずKaoさんは落ち着いてご家族に連絡をして、ここで休んでくださいね。」
そういって女医さんはベッドから離れてしまいました。
『この一年の節約の努力がハイ消えた!ハイ今消えた音がしたよ!!(心の中で修造モノマネ)
医療保険は入ってるけど間に合うか~?』
いや、自分、そこ今考えることじゃないと、当時の自分に突っ込みたい(笑)
そんな金の事ばかり考えながら「入院の手引き」を読んでいる自分のところに優しそうなやや年配な看護師さんが電話機を持ってやってまいりました。
「いきなりだからびっくりしますよね、大丈夫ですからね。
とりあえずご主人に連絡しましょうか。電話番号分かりますか。」
そう優しく言われ携帯から電話番号を引っ張り、病院の電話で夫に連絡をすることに。
「もしよければ私が電話で説明しますが。」と看護師さん。
「いや、大丈夫です。自分でさせてください。もしかしたらまだ出張中で出られないかもしれませんが・・・」
電話をすると運がいいというか、流石に心配していたのかすぐ電話に出てきた夫。
「あ、お疲れ様です~お仕事終わりましたか?」
「あ、Kao?大丈夫?携帯もつながらないし心配してたよ。今、休憩中でもうちょっとで終わる所。懇親会の予定あるけどまっすぐ帰る。でも家に着くのは7時過ぎくらいになるかな?」
「あ、そっかそっか。飲み会予定だったもんね。」
「で、どうしたの?」
「うん、脳梗塞だった。しばらく入院だって。アハハハハ~受ける~予測、大当たりでしたよ!」
「・・・・・・・・・(数分の無言)そう。どこの病院?朝の病院?」
この無言と冷静な言葉で夫は事体の把握を失敗したことに気が付く私。
夫の性格上、非常に冷静な事を言っているときほどいっぱいいっぱいになっていることが多い(笑)
こりゃ色々言ってもダメそうだと判断する私。
「いやー朝の病院じゃCTしかなくて分かんなくて、うちの近くの大学病院にタクシーで来てMRI取ってもらったら脳梗塞だって。
着替えも取りに帰れないらしいからそういうのはしばらくレンタルする予定。」
「・・・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・」
夫、いまだに事態が完全には飲みこめてないらしい(笑)
「まあ足りないのは来たら入院準備の紙くれたからそれで準備してくれればいいや。
とりあえず仕事終わったらこの大学病院に来てください。病院の場所は分かるよね?
面会時間9時までらしいからちょっと急いでいただけるとありがたい。」(入院の手引きに書いてあった)
「・・・・場所は大丈夫・・・何かもっていくものありますか?」
「言ったってどこにあるか分かんないだろうから来てからで大丈夫。
HCUっていう集中治療室みたいなの入るらしいから携帯は繋がらないらしいからよろしく。じゃあそういうことで。
お仕事がんばってね。帰るとき、来るときは気を付けてくるんだよ。こういう時は事故が増えるからね。んではまた。」
電話を切り、看護師さんの顔を見たら・・・・
『なんじゃこりゃ』という顔をしてたのを未だに忘れられません。(笑)
「・・・・・・Kaoさん他にご家族は?」
しかしやはりプロ、すぐに冷静さを取り戻します。すごいです!看護師さん(憧)
「・・・ここから二時間以上かかるところに実の両親と姉が住んではいますが・・・
全員仕事していて忙しいのであまり連絡を取りたくはないのですが・・・」
その2に書いてあった通りのやや危険(笑)な両親なので、できるだけ実家とは連絡を取りたくない。なので距離や多忙を理由に電話を断ろうとするも・・・
「病院としてはできれば二人以上の親族の方とも連絡をお願いしているのです。特に実のご両親がご健在ならなおさらしていただきたいのですが。」
と穏やかに、かつ有無を言わせない勢いでした。すごいです!看護師さん(怖)
しかしこちらも負けれない(笑)
看護師さんと「できればしたくない」、「してほしいんです」で問答をしましたが結局は電話することになりました(汗)すごいです、看護師さんorz
しぶしぶと実家に電話をすると姉が出てきました。
「おや、珍しい人から電話が来たね(^^)どうしたの?」
「うん、久しぶり~。みんなは元気?
えーとさ、実は脳梗塞になっちゃった(笑)」
「え!!」
一瞬時が止まるも流石は女性と言うべきか・・・夫よりはしっかりしてます(笑)
「どこの病院に入院になったの?今から行く。」
怖い、姉の声がマジすぎて怖い!
さっき、現状把握失敗してた人(夫のことw)とは真剣度が全く違う!!(驚)
「えーいいよいいよ、遠いしもう遅いから。休みの時とかに来てくれればいいから。」
「早く病院の名前言いなさい。今から行くから!!」
半分怒鳴られるように言われビビる私。
「うちの近くの大学病院に入院するんだけど・・・・えーと電車だとどーいくのかな?」
とタクシーできた私が迷っていると看護師さんが(奪い取るようにw)電話に代わってくれました。
そして流れるような素晴らしい口上で病院の正式な名前(知らなかったがこの大学は二つ病院をもっていたらしい)、住所、電話番号、実家からの電車での来方、HCUに入ることなどを伝えてくれました。
きっと先ほどの話し合いを聞いていて『任せておけない』と思われたのでしょう(笑)
そして全て話してくれて電話を返されました。
「・・・・ということだそうです。」
「分かった、じゃあ行くから。」
そう言って断る隙もなく電話は切られました。
いやー、心配されるのはありがたいけど本当にあの時の姉の声、怖かったです(笑)
しかし看護師さんの『電話しろ・任せておけない』オーラはそれ以上にとても怖かったです(爆)
(ホントこれぐらいw)
まあ今思えば30代の女が健在な両親に知らせずにいようとしたことで色々事情があることは分かったのでしょう。
ある程度力技に持ち込まないと連絡しないのも。
脳梗塞は初回発作時から3日間が再発、再び血の塊が詰まる危険性が最も高まります。
そして初回発作で亡くなる確率よりも「再発で重症化、そして亡くなる確率の方が高いのです」
いいですか、大事な事なので二回言いますw「初回発作よりも再発で亡くなる確率の方が高いのです」w
きっと看護師さんはそれを心配なされたのでしょう。夫婦だけで対応して、もしも自分が死んだ場合責められる可能性の高い夫を守るために。
そしてたとえトラブルがあっても子どもの死を看取れないという親の悲劇を避けるために。
今だから言えます。
お世話になった大学病院の処置室の看護師さんありがとうございます!!
おかげさまで元気にしています!本当にありがとう!!!
でもこれがその後その他の問題を山ほど引き起こすとは・・・さすがの看護師さんにも見えなかった事実でしょうが・・・・
その4に続く
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