アホの力 1-3.アホの芽吹き

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この呼びかけを目にしたからには、私に出来る事は一つだ。

南相馬に、必要なモノを持って行く!餓死者など出してなるモノか!

『人一人が運べる物資など、たかが知れている。』…

んな事ぁ分かってる。確かにそうだ。

でも、そんな事はどうでも良かった。俺が運ぶモノたって、現地に着けばそれなりに役に立つ。『俺がやらねば…!』なぜかそんな思いになっていた。

いい意味での『勘違い』である。

 

持って行く物資なら、会社の倉庫にカップ麺が売るほどある。1ケース12個入りのカップ麺を10ケース、会社の倉庫から買い取り、そいつを持って行く事にした。

会社の所長にだけ事情を話したのだが、その時『十分に気を付けて行くように』と注意された。

被災地では、県外ナンバーの車は物資を積んでいる事が多いので、襲われて物資を略奪されるという噂が立っていたのだ。

そんな…山賊みたいな奴がいる訳ねえじゃん!バカにしてるなぁとは思ったが、そういう噂が立ってしまうほど、現地の情報は不足していた。

『ならば、自分の目でしっかり見て、きちんとした情報を伝えねば!』

そんな事も考えた。

 

もう一つ…思っていた事がある。

この時点で私は、埼玉に住んでいた。無論電気は東京電力から供給されていた。事故を起こした福島第一原発は、東京電力の発電所である。という事は、私は福島第一原発を利用していた訳だ。

という事は、あの原発は、俺の為のモノなのだ。

自分のモノが事故を起こしたなら、責任の一端を追わなければ!

 

何だか分からない、根拠のない『思い込み』である。

 

この、物事を深く考えないアホであるが故の、『勘違い』と『思い込み』が、ここから先の私の行動を、要所要所で決定していく事になる。



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アホの力 1-4.アホの気付き

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