小さい親切

著者: 森本 晋平

以前の会社の経理のおばちゃんに、可愛がられていた。




いつも何かしらのご飯を御馳走になっていた。


その日は、唐揚げ死ぬほど食べ放題という話で、お邪魔したところ。


その家に一台しかない、リビングのパソコンの調子が悪い。


唐揚げのお礼だなとばかりに、PCの調子を見ていると、ハードディスクの空き容量を見てみると、残り40MBしかない。


「おかしいな~」と更に調べると、なんかエロスな動画がたくさんある。


「誰だよ~」って思っていると、玄関から高校生になる息子さんが帰ってくる音


「今会社の人にパソコン見てもらってるの~」という母の声に、クールぶりつつキョドる息子




「お前か!!」


と内心思いつつ、削除をしようかと思ったが、あの高校生のキッズがどんな思いで、このエロスな動画を集めたんだろう…と考えると、無碍に削除はできない自分がいた…




しょうがないから、ネットワークストレージと、ポータブルHDDに全部コピーして、動画を削除して、帰るときにこっそり高校生の部屋に行き、HDDをメモと一緒においた。




「君の思春期の宝物はここにあるよ!」




後日、高校生からお礼の手紙がきた。


今は、その高校生も立派な大学生で、おばちゃんいわく


「彼女が全然できんくて困ってる。」らしい。




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