大学院卒業間際のニートがカリブ海で絶望に打ちひしがれた話

前話: 大学院卒業間際のニートがカリブ海で父親の電波を受け取った話
次話: 大学院卒業間際のニートがカリブ海で絶望に打ちひしがれながらも、得たかけがえのない話。

そうした大義名分を打ち立てた俺は、アメリカ経由で白人の大豪遊地、ケイマン諸島のグランドケイマンに降り立ったのである。


ケイマン諸島はカリブ海の島々の中でも抜群に治安がよく、抜群に物価が高い。日本の1.5~2倍の位するのだ。海外に行くと基本的に金銭感覚がおかしくなるため、(これは非常に個人差があると思う)俺自身バックパッカー的な旅は向いていないのではないかなと思ってしまった。


こればかりは実際にやってみないとわからないが。


初日から涙で枕を濡らし、変な電波を受け取った私は謎の目的完遂のために、首都のジョージタウンに向けて旅立ったのだ!!!



とはいえどちらが首都かもわからない。

バスを使っていけばいいことはわかるが。そのバスがどんな形をしているのかもわからない。


ポケモンの主人公が一番最初の草むらに入ってって、本来ならば「おーい、キミキミ!そこは危ない、こっちに来なさい」(うる覚え)と呼び止めてポケモンくれるオーキド博士がいない状態なのだ。


はて、困った。ポケモン図鑑?に当たる地球の歩き方(カリブの島々)を読破しても、ケイマン諸島のバスの詳細が書かれていない。というよりも地球の歩き方のうち、ケイマン諸島が乗っているのはほんの10ページだ。大半はレゲエを愛するジャマイカの野郎にスペースは奪われている。


仕事だといって2時間前に車を走らせたホストマザーに言われた、「道端で待ってたらそのうち来る」という言葉を信じて、道端で待つこと十数分。


やってきたのはトヨタのバン。ケイマンのバスは2.5ドルで乗り放題なのだ。


そして、首都につく。

突き抜けるほど綺麗な青い海に、これまた青い空。そして街に群れたるは白人の観光客。

沖の方にはっきりと存在感を示す5隻の豪華客船。

そう、この地で俺は、ある人物を探し当てねばならないのだ。俺のつたない英語力、つたないコミュニケーション能力を駆使して、7人の選手に合わなければいけない。ほんの1週間の間にどれほどできるかわからない。知っているのはシドニー・マザーシル、世界陸上当初8位に輝いた選手の名前で女性である。という情報しかない。そんな状況。


でも、ひとりでも会えたら奇跡で、しかもその奇跡を起こしてやろうじゃないか。

という気概でジョージタウンに足を運んだわけ。


しかし、ここで俺は気づく。その行為がとてつもなく愚かであったことを。

そして、ここで俺は気づく。その行為がとてつもなく遥か彼方にあったことを。


まず耳に聞こえてくるのは、早口の英語。まったくもって聞き取れない。

笑顔で話しかけてくる白人。しかし彼らの友好的なコミュニケーションを友好的に返すことができない。言葉のキャッチボールができない。

そして目に飛び込んでくるのは、筆記体で書き崩されたアルファベットの英単語。読めない。意味がわからない。

ボーイスカウトでハワイでプロジェクトやった。

イギリスでプロジェクトやった。サンフランシスコでプロジェクトやった。

タイに友達と行った。


そして今回は、ケイマンでプロジェクトをやろうとした。

でも、今までのそうした活動が嘘のように、今回は全くもって手も足も出なかった。

道行く人々はヨーロッパ、アメリカの大富豪。

サービスするのはジャマイカをはじめとするカリブ海の人々。そして共通の言語は英語。

学校のテストで赤点を撮っている日本人が来れるような場所じゃない。

はっきり言って俺は絶望した。自分の力のなさに。何の後ろ盾もない外国人ができることの小ささに。


それと同時に気がついた。

今までどれだけ恵まれていたか。今までどれだけの人の力に頼っていたのか。

今回の旅の目的のうちの一つに自分ひとりでどこまでできるのか試してみたいというものがあった。

その結果が、、、


南国の楽園と呼ばれる島の首都でただただベンチにうずくまって冷や汗をかいている俺。

周りの外国人は嬉しそうに買い物をしている。そんな中で、俺はただ、地獄にいるかのごとくズシンと重い頭をたれていた。


最初の3日間はそれの繰り返しだった。

プロジェクト完遂に向けて焦る俺、しかし、わからないことだらけ。

現地人のいる街中で話をしようにも、政府に勤めている人々なため、警備員がそこらじゅうにいる。不審者の外国人というレッテルを貼られると、捕まってしまう。そんな緊張感が漂っていた。


時間はゆっくりと、着実に減っていく。

3日目、海を赤く染め、空を紫苑に染めながら沈みゆく美しい太陽を眺めながら虚無感に襲われていた。

俺はここに何をしに来たんだ。


焦りは苦しみをうみ、苦しみは絶望を生んだ。


カリブ海という場所で一番綺麗であろう夕日を見つめながら、一番似合わない感情を胸の内にしまいこむ。そして俺はホストマザーの家の帰路についた。


人間、ひとりだけでは限界がある。悔しさを感じながら、その日は眠りに落ちていた。


(カリブ海で得たこと1~3日目終了)








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大学院卒業間際のニートがカリブ海で絶望に打ちひしがれながらも、得たかけがえのない話。

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