犬や猫の映画を作って初めて知ったこと(後半)
人間は一人では生きていけない
相馬、南相馬の伝統行事「相馬野馬追」を
2011年4月から2012年まで追いかけて、そう感じました。
震災が起こる前は、私自身、そんなことを感じることなく、都会での暮らしの中で、
日々生活をしておりました。
震災が起きてから、気づかされたことは、都会の豊かさは本当に豊かなものなのか?
ということでした。
震災直後に大切にされたことは、人とのつながりや精神性、他者と共に生きる姿勢だったと思います。
忘れていた、人としての大切なことを被災地から気づかされ、
この「ノー・ヴォイス」を人間と犬猫が共に幸せに生きるという観点から取材をし直しました。
ここでお伝えしたいことを7つに分けて、お話してみたいと思います。
#1:自分のことが好きですか? という視点
震災以降に初めて出会ったのは、児童文学作家の今西乃子先生でした。
犬や猫に関する多くの児童文学書を書かれている今西先生は、
出前授業といって、学校に訪問をしながら、命の大切さをお話されていました。
その授業の中でお話さえていたことに、「自分のことが好きですか?」という問いがありました。
犬や猫と一見関係なさそうなお話ですが、この映画でも伝えている、
自分を好きになるということと犬や猫など他人を大切にすること、
が繋がることに、自分が日頃から感じてきたことを端的にお話されており、
目から鱗な授業をされておりました。
犬や猫の命のことを考えることは、自分たちの幸せを考えている
その視点に気づかされることになったのです。
このことは、このページの最後に改めてお話を致しますので、
最後まで読んでいただけたらと思います。
#2:毎日数百頭の《殺処分》の原因は人間自身
年間16万頭もの犬や猫が《殺処分》を受けている。
この映画に携わるまで、譲渡会や保護団体(※前半を参照)の存在を全く知らなかった自分にとって、
《殺処分》という言葉すら、初めて知るものでした。
各都道府県の行政の下には、保健所や保護センターと言われる施設があります。
飼えなくなった犬や猫がその施設に収容され、
飼い主が見つからないと、一般的には最長で七日間で殺されるという現実がありました。
可愛い犬や猫の映像をテレビで沢山見るものの、殺されている犬や猫も沢山いる。
どうしてそんなことが起きているかを、関連の書籍を読みあさり、徹底的に調べました。
そこには悪質な繁殖業者の存在、ペットオークションの存在、
野良猫が無数に繁殖してしまう現実など、日本には多岐にわたり問題が存在する
ことを初めて知りました。
ということに行き着いたのです。
数多く捨てられる犬や猫、無数に繁殖してしまい、地域で問題になってしまう猫たちが、
保健所やセンターに持ち込まれ、その犬や猫を育てるには、
餌代、施設費、薬代や、人件費などが多くかかってしまう。
常に持ち込まれる施設では、収容する犬や猫に限りがある。
だからやむなく殺さざるを得ない現実がある。
ということを知ったのでした。
そして、海外では、例えば、ドイツでは、
殺処分をする公的な施設は、存在しないということも初めて知りました。
恵まれない犬や猫たちを安易に殺すのではなく、
命を紡いでいくために新しい飼い主を探す環境が整っている国が
日本以外にはあることを知り、
日本の犬や猫の受け入れ態勢が諸外国に比べて遅れていることを気づかされたのでした。
#3:譲渡会、保護団体の存在
そんな犬や猫たちを民間の保護団体の方々が、施設から引き出して、新しい飼い主を探す方々がいる。
このことも、この映画を通じて初めて知った事実でした。
殺されてしまう前に、多くの犬や猫たちの命を少しでも救い出したい。
そういった方々が全国に沢山いることを、この映画を通じて知りました。
海外では、このような団体の存在は社会に広く認知されているのですが、
日本ではまだまだ一般に認知されているとは言えません。
多くの団体は、寄付や支援を受けながら、ボランティア的な活動で、
少しでも命を救おうと活動されている方々が沢山いらっしゃる事実を知りました。
NPO団体、ボランティア活動家、行政のセンターの方々、獣医師の先生、トレーナーの方……
こんなにも犬や猫たちと関わっている方々が多いことに驚かされ、
また、それぞれの方々が、犬や猫が大好きだからこそ、
殺処分が無くなってほしいと日々、命を救う活動をされている方々が沢山いることを知りました。
#4:蛇口と受け皿の関係
殺処分が無くなってほしい
この想いは多くの方々が持っていると思います。
「犬や猫の命も大切な一つの命であること」
では、殺処分の原因はどこからくるのか?
それは、蛇口と受け皿という言葉に象徴されます。
受け皿とは、前項の#3で書いた通り、恵まれない犬や猫を救っていく方々の存在です。
この方々の活動があって、殺されていく命が年々減っている現実があります。
著者の古新 舜さんに人生相談を申込む
- 1
- 2
著者の古新 舜さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます