【投稿テスト】シミ。2

3 / 3 ページ


ひとり百面相になりながら、ハンドルを握る。




私自身、長く付き合った元彼と別れてだいぶ経つ。

恋愛始めの感覚なんて

正直思い出せない。


だから

これが何なのか、よくわからない。




………はず、だ。




***



翌日。


仕事から帰ると、家には誰もいなかった。

よくある事だし、慣れている。


でも、なんとなくその日は落ち着かなかった。

昨日が楽しかっただけに、余計寂しさを感じてしまう。


しばらくテレビを見ながらぼーっとしていると

ふいに、携帯が鳴った。


【メール受信:ナンパ】


名前登録変更するの忘れてた……と、込み上げる笑いを抑えながらメールを開くと


【今閉店しました。もう少しで帰れる…。】


という何事でもない内容だったので、私はほほえましく思いながら【お疲れ!】と返信した。

すると、その10分後。


【着信:ナンパ】


おー。終わったー。

……まあ用事なんか無いんだけど……。
何してたの?

電話を取るといきなり勢いよく話し始めた純くん。

私の寂しさは一気に吹き飛んでしまった。

ユキ
んー…っと、ぼーっとしてた
嘘!?予定無し?
ユキ
……うん
……暇なら誘ってって言ったじゃん。

ごはん行こ
ユキ
え?

まさかそんな言葉が返って来ると思ってなかったので

私の頭の中は真っ白になった。

ユキ
……昨日も行ったよ?

嬉しい癖に探る様な言い方をするのは、きっと私の癖なんだろう。

昨日も行ったね。……今日も行こう
ユキ
いいの?
うん。なんかユキちゃん声が沈んでるよ。…行こ

なんとなく、気を遣わせてしまったかなと思ったけれど

そんな気遣いも本当に嬉しくて、私は大きく頷いた。


***


それから

昨日と同じ様に待ち合わせをして、私達はラーメン屋へ行った。

カウンター席で並んでラーメンを食べる姿は全然色気の無いものだったかもしれないけれど

私はすごく満足していた。

ユキ
うちは夜誰もいない事多くて。慣れてるんだけどやっぱ寂しいよね

ふと、そんなことをぼやいてしまった私に

純くんは少しの間沈黙して、それからまた、笑顔を向ける。

明日は何食べようか
ユキ
明日も!?

大笑いしながら私は


確実に

この人の存在が自分の中で大きなものになり始める、予感のようなものを感じていた。



***



それからというもの

私達は、ほぼ毎日待ち合わせして食事するようになった。


時々映画のレイトショーへ行ったり

カラオケへ行ったり


毎日毎日。


どれだけ一緒にいても足りない。

別れた瞬間に会いたくなる。


もう

さすがに自覚していた。


私は

たった10日程の短期間で

純くんを好きになってしまった、ということを。



***



人を好きになる、というのは幸せな事だけど

幸せと同じくらいに、不安もつのるものだ。


失いたくない、という気持ちが強いほどに。


だから

自分から好きだなんて、とても言えなかった。



しかしある日

私達の関係は大きく変化する。


それは

私の職場で毎年恒例のバーベキュー大会が行われた8月の末。



純くんと出会って半月あまりが過ぎた


夏の、終わり。

著者の伊藤 ドリアンさんに人生相談を申込む

著者の伊藤 ドリアンさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。