わずか数千円の貸し借りで失われる友情の話

著者: みやけ さとし

返ってこないお金にガッカリするのではない

「知人間での金銭の貸し借りはよくない」

この言葉の本当の意味がわかったのが、比較的最近のことである。

それと同時に、これは金額の大小問わず発生する問題なのだ、とも悟った。

基本的に、お金は貸さない主義だ。
理由は、見出しに書いたキャッチコピーの意味を知らずに実行していただけ。

事実上貸したことは何度かある。
大した額ではないが、その場合は例外なく「返さなくていい」と付け加えてある。

それでも返す人は返してくるのだから、立派なものだと思う。


「ああ、これは返ってこないな」と感じた際の心理分析

貸した金額はわずか数千円、自分の酒代1回分程度。
金額面での影響力は、ほとんどない。

期日までに返ってこなかった、形式上の催促もする、それでも返ってこない。

その時は「何やねん、あいつ」とか「もったいないことした」と思ったかもしれない。
(過去のことなので思い出せない)

ずっと、貸したモノ(今回はお金)について、ガッカリしたのだと思っていた。

でも、思い返してみたら、
・都合がつかなくなったからもう少し待って
・◯◯までに返します
・そもそもで返す気がないから諦めて

など、多少のフォローがあったら、それほどガッカリはしてなかっただろう。

つまり、失ったモノにはさほどガッカリしていないということだ。


都合の悪い時の対応に、対自分への待遇を実感する

では、改めて何にガッカリしたのか思い返してみると、その時の相手の対応なのだ。

対応が悪いことによって、対自分への位置づけがその程度のものだったのか、
という念を抱いてしまったことが全ての根本なのだ。

恩着せがましさもあるが、金銭以外も含めた過去の「貸し」について振り返った時、
ガッカリした思いのある経験には、ほとんどが時間や労力などの浪費よりも別の感情にぶつかる。

「ああ、相手の中での自分の価値観はこの程度のものだったのか」

この感情を知った時、ほとんどの関係が終わるか、ビジネス以上の付き合いができなくなっている。

自分を大事にしないと実感した相手と仲良くできないのは、恋愛でも日常生活でも同じなのだ。

相手がそんなことはないよ、と否定しても、無意識的にでも自分はそう思ってしまう。

恋愛でも「この人とはうまくいかないな」と思った相手と続かないのと同じで、関係を維持できない。


それでも、貸し借りは生涯、発生する

タイトルは分かりやすくお金の話が、ここで書いたことは人間関係とセットでやってくる。

貸すこともあれば、自分が借りる側になる場合もあるし、
おそらく自分自身が借りた側で、過去に相手にガッカリされた経験も否定しない。

自分が貸す側で、借り手に行って欲しかった点をまとめてみると、次の3つ。
・できないことはできない、と言ってほしい
・できなかった代わりにどうするか、 の提案があると嬉しい
・開き直りも禁じ手だが、応答という点では1つの方法

万人に共通するかは不明だが、
自分が借りる側の場合、貸し手には上に書いたことは心がけようと思う。

あわせて、今度何かを貸すときは、返済能力やバーター条件を見るのではなく、
上のマイルール3点を守ってもらえるかどうかで判断することとしよう。

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