レッドブルは本当に「翼をさずけてくれるのか」、を90日間試してみた“名もなき男”の人体実験結果。

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まさか、この電話がオレの人生観を大きく変える「きっかけ」になるとは、このときは思いもしませんでした。


電話の主は、母親。


母「忙しいのにごめんなぁ。今ちょっとええか?」


ごめんと謝るのも、母の口癖。



いつもと同じ。普段と何も変わらない・・・?


でも、なぜか嫌な予感がしました。



母「あんなぁ・・・もう、店閉めることにしたわ。」



閉店


両親は、約20年間続けて来た店を閉店させました。

オレがモゴモゴやっている間に、何もかも終わったのです。


「オレは無力だ。」


今までそらし続けていた現実が突き刺さります。


母「ほんまに心配かけてごめんなぁ。」


また謝る母。

オレは、何も言えず、ただ心の中で「すまん」と何度も叫び続けていました。


・・・


電話を切ってからしばらくの間、オレはトイレでパンツを履くことすら忘れ、溢れ出る涙が止まるまで、ただ呆然と失望の時間を過ごしました。


・・・




そして、両親は生活費を稼ぐために、雇われ生活に戻っていきました。分かる人には分かると思いますが、商売をしていた人間が、雇われる側に戻っていくというのは、敗北感と屈辱感がハンパないのです。



繰り返されていた奴隷人生


こんなことを言うと、両親は否定するかもしれませんが、両親は、「自分の商売の奴隷」。そして、オレは「他人の商売の奴隷」でした。



カエルの子は、か・え・る、、、、なのか?????


やっぱ、鷹にはなれないのか?????


やっぱオレに、翼は生えないのか?????



そんなことが、頭の中をグルグル回りはじめるのと同時に、オレは自分の将来に恐怖を感じたのです。

なぜなら、両親の姿を見て、まるで自分の未来を見ているようだったのですから。


「オレは、親と同じ道を歩みたくない。」


このままでは、オレも一生奴隷として生きていくことになるような気がしました。


「守りたいものも守れない」


「やりたいこともやれない」


そんな失望感がMAXになったとき、オレは本気で変わろうとした。


とは言え、「どうすればいいのか?」なんてその答えはまだ見えてきません。

ただ言えるのは「このままではヤバい!」ということ。


そして今までの自分は、くだらないプライドを守っているだけのクソ野郎だったってことを、このときやっと自覚しました。



どん底からは高みしか見えない


プライドを捨てたオレは、素直に「無力な自分」と向き合えるようになり、どうするべきなのかを真剣に考えるようになりました。


今までは、親や会社、世間のことを必要以上に気にしすぎていたのです。


よくよく考えてみると、勝手に感じていた責任感、勝手に感じていた義務感、そんなモノにオレは支配されていたような気がします。


要するに、親や会社が無理やりオレにやらせていたのではなく、勝手にオレが奴隷行為を働いていただけだったのではないか、と。


ただ単にマゾヒズムの快楽に溺れていただけなのではないか、と。


でも、もうカッコ付けて被害者面する理由がなくなったのですから、「親のため」「会社のため」なんて綺麗事を言うのは止めて、「自分のため」にできることをやろう、そう決めたのです。


そう考えれたことで、何か吹っ切れたような気がしました。


「どうせもうこれ以上は落ちないんだから」、と人生のどん底に立ったような感覚を持ったとき、オレにも何か可能性があることを直感的に感じたわけです。


もう「落ちないように注意する人生」ではなく、「這い上がるだけの人生」を楽しむだけ。


「母からの一本の電話」が、そうやってオレの人生観を大きく変えました。皮肉にもオレは救いたかった人に、逆に救われたのかもしれません。



負けられない戦い


ほどなくして、32歳の時、独立のチャンスがやってきました。


当時オレが取締役で働いていた会社で運営していた飲食店の内1店舗が大きな赤字を抱えて苦戦していました。社内会議で「売りに出そう」ということになり、不動産屋などを通じて買い手を募ったのですが、売却先は見つかりませんでした。


次の手段は、閉店してスケルトン工事(現状回復工事)を行い大家に返却するしかありません。しかし、この方法は、閉店するために300万円ほどの経費が掛かってしまうため、会社にとっては無駄な負担になります。


分かりますか?


このタイミングを、


「待ってました!」とばかりにオレは動きました。



ラスボス「恐竜ヤクザ」


オレは、この店を手に入れるために、社長と会う約束を取り付けました。


当時の社長は、肉食系なんか余裕で通り越した恐竜系、しかもほぼヤクザ。イケイケどんどんのノリがオレには合っていたし、そんな社長が好きでした。


が、相手は恐竜系ヤクザです。今までは若衆の筆頭として接していれば良かったのですが、今日は違う。油断していると、骨の髄までしゃぶり倒させる可能性だって十分にあるわけですから、オレも黒スーツにグッチのネクタイを絞めて、気合いを入れて会いに行きました。


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