たった一つの出来事で運命は変わる(勇気と上京)
前回の続き
野球が好きだ。
それだけが唯一の救いだった。
結局軟式野球部に移ることに決めた僕は当然両親からの許可を得なければならない。
そりゃそうだ。お金は親が出してくれる。もちろん授業料もそうだし、お弁当も作ってくれる。
何より、僕の野球の夢は両親の夢でもあったかもしれなかったのだ。
そう考えると、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。
生きているのすら申し訳なく感じることはこの時期ほぼ毎日思っていた。
母親に伝えた時、こんな答えが返ってきた。
僕としてはあんな監督の顔すら見たくなかったが、仕方ない。
これが最後だと思い、僕は硬式野球部の監督のいる部屋に行った。
そこで言われた一言は一生忘れることはないだろう。
大人はこんなにもクズなのか
素直に僕はこう思った。
………
は?
え?今なんて言った
………
ああ、なるほど。
これ以上僕が大きな口を叩かないよう釘をさしてるのかこの人。
クズだなこいつ
僕はそう思った。
実はこの時僕は学ランの胸ポケットに携帯を入れておいて、ムービー撮影のボタンを押していた。
撮れるのはもちろん監督との会話。僕の高校は携帯電話の持ち込みは禁止されているが、この時期、新潟では拉致問題の話題が多かったこともあり、もし何かあったら自分の身は自分で守らないといけないと思っていた僕は学校に持ってきていた。
まさかこんなところで役に立つなんて思ってもみなかったが…。
ドン
思いっきりドアを閉めてやった。
この時足早に教室を出て走って逃げたが、足が震えていてうまく走ることができなかった。
僕はギリギリのところで戦ったのだ。
今でも思う。
この時の自分の判断に間違いはないと
その後監督からの謝罪があり、仕方なく訴訟は取りやめたが、携帯のデータは残したままとだけ伝え、全てが終わった。
僕は勝ったのだ
こんなところで勝ち負けなんて随分小さいことをしたと思っているが、当時は本当に戦争のような毎日だった。
毎日生きるのに、毎日小さな幸せを見つけることに精一杯だったのだ。
朝目が覚めることに幸せを感じ、ご飯が食べられる、両親には迷惑をかけたが、さっきのことを伝えると今度は本当にこの学校が腐っていると感じたのか、少しずつ理解をしてくれた。
今思えば、僕の両親は本当に厳しかったと思う。でもそれは両親なりの優しさだったのかもしれないと今になって思うことができた。
相談してすぐに部を移れば、監督と戦う勇気がなければ、自分で自分の身を守ることを知らなければ、僕はこの世にはいないと思う。多分同じことを繰り返していたのかもしれない。
「やられたらやり返す」去年とてもこの言葉が流行った。目には目をなんて野蛮だと思う人もいると思うが、やられるほうは必死なのだ。
死と隣り合わせで生きているのだ。
大げさなんかじゃない。これは実際にあったことのある人しか分からない感情だ。
そんな状態の人に言葉なんて通用しない。行動で示してほしいのだ。
それを僕は16歳の時に学んだ。
話が大分それたが
無事僕は軟式野球部に入部することができた。
そして平穏な日々が過ぎ、18歳、高校3年生の秋。
僕はトキめき新潟国体に出場した。
もちろん軟式野球の新潟県代表として。
軟式野球部に入部したからといって硬式野球部のやつらと顔を合わせないわけじゃない。
同じ校内にいるわけだから廊下ですれ違うこともあった。
すれ違い様に「チッ」と舌打ちされることもあったが、野球ができない苦しみに比べれば何にも怖くない。
それを耐えた結果の国体出場だ。
監督に「学校これなくなるよ」と言われた時、バットで野球部の部室と監督の車をボコボコにしてやろうと思ったが、我慢して良かった。
真っ当に生きていれば良いこともあるもんだ。そう感じた。
そして18歳の春。僕は無事高校を卒業し、憧れてた東京での暮らしを始めることになる。
一応高校での壮絶な暗黒時代はこれで幕を閉じました。
思えば最初にいじめを受けたのは14歳、中学2年生の時。
年数で言うと2年近くになりますが、あの時いじめられて良かったと今は思えます。
ここに書いたように当時は辛かったですし、生きることに必死でしたが、そのおかげで人の痛みがわかるようになりました。
今もどん底にいますが、それを支えてくれる目標を立てることができたのも、きっと神様が僕をいじめの標的に選んだからでしょう。
そう勝手に思ってます。笑
うまく書くことができませんでしたが、とりあえずここで高校時代編を終わらせたいと思います。
読んでいただき本当にありがとうございました。
もし読んでくれたみなさんの周りに今現在いじめを受けているという相談を受けている人がいたら、こんな感じでかろうじて生きてるやつもいるんだよ。とこれを読ませてみてください。
そこらへんのカウンセラーよりかはリアルな体験してると自負してます。笑
では、今度は上京から現在の物語でまた会いましょう。
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