歩いて九州を一周してみよう、って普通思う?「落胆」

前話: 歩いて九州を一周してみよう、って普通思う?「つまずき」
著者: 館 正訓

日が傾きはじめた頃、若杉山の中腹の公園に着いた。ガクガクの身体でザックをようやく下ろすと、コンクリートのベンチに寝転がった。立ち上がる気力もすでに無くなっていた。


「パリダカに行きたい」


「世界一周をしてみたい」


口ばかりで何も出来ていない事に、僕は焦っていたのかもしれない。そして、ようやく実現しようとして、向かい合った自分に、酷く落胆してしまった。


「やれば出来るさ」


と思っていたのに、たった一日歩き通す事すら出来ない自分という現実。


固いコンクリートの上で、僕は空を見上げていた。なんとも焦点の定まらない視点はあいまいに空を見まわした。全身を疲労感が包み急激に眠さが襲って来た。まだ寝ている場合じゃないのだが、


「えーい、ままよ」


睡魔に任せてそこで眠り込んでしまった。


太陽は構わずに僕を照らした。





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