第10話 人生を変えた旅ペルーⅠ【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】

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それが、まきさんややよいさんとの出会いが

ペルーまでのピースをつないでくれたのだ。



そして4年住んだ恵比寿の家は、

なっちゃんが守ってくれることになった。



明日出発と思えない、なんだか不思議な気分だった。



荷物も詰め終わり、旅に持っていくお金を数える。

海外旅行保険をかけて家賃も払ったら、

結局、1ヶ月で貯まったお金はたった8万円だった。



ーうう。。これで足りるのかな・・・。いや、もう仕方がない。


なくなったら、路上でソウルカラーをしよう!



少ないお金を握りしめ、もう腹をくくる。



ピンポーン



すると、急に私宛に郵便が届いたのだ。



ーこんなギリギリに誰だろう?



届いた小包を見てみると、送り主はあの’まきさん’だった。



小包の中には、

旅を応援する手紙と、お守りなどが入っている。



ーうわぁ。まきさん、ありがとう。



届いたお守りも手紙も、小さくたたんでかばんのポケットに押し込めた。

一緒に旅をすることにした。



小包をみると、まだ奥に何か入っている。



ーなんだろう?



ビニール袋に包まれたそれを取り出して開けてみる。

それは少しボロボロになった、ドル紙幣だった。



今はもうない昔の古い絵柄や、汚れていたり、使い込まれているものばかりだ。

他にも、チリやボリビア、ペルーのお金も入っている。



それは、まきさんが旅で余ったお金をかき集めてくれたものだった。

それを譲ってくれたのだ。



数えると、自分が貯めた額以上にもなる。



『 まほちゃん!大きな旅になるね!いい旅を! 』



達筆の、おおらかなまきさんらしい文字が踊っていた。

歳の離れた親友からの、応援のメッセージだった。



お腹の奥から暖かいものがこみ上げる。

ペルーのことを嬉しそうに話す、まきさんの顔が浮かんだ。



彼女の旅の続きを託されたような、そんな気持ちだった。



ー.....まきさん、ありがとう。これはお守りにしよう。



また丁寧にビニールに包み直し、バックパックの奥にそっとしまった。



1ヶ月前はペルーも知らなかったし、お金も思うように貯まらなかった。

私一人だったら、ちゃんと出発できなかったかもしれない。



だけど、まきさんややよいさんとの出会いがペルーまでの道を繋いでくれたのだ。

本当に感謝だった。



そしてこの1ヶ月でペルーまで導かれるように揃っていくピースに

少し戸惑うような不思議な気持ちもあった。



ついに明日は出発の日だった。

しかし、ペルーまでの偶然のピースはまだまだ続いたのだ。



第2章 飛行機での前兆



まほ
なっちゃん、行ってきます!



なほ
まぁちゃん!!大きな旅になるよ!日本で見守ってるけんね!



なっちゃんに見送られ、恵比寿のアパートをあとにした。



バックパックはたった7キロ。

だけど、背の低い私には身体の半分くらいに見える荷物だ。

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